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鈴の法話  ----全てに愛を光と祈りを----1999.8月 行動の判断に自己責任が問われる大競争事態       お金の有る所に金の集まる無情な時代になる                観音院 法主 鈴之僧正  七月に満六十六歳の誕生日をお祝いいただき感謝の心で一杯。 私は花は大好きですが、両手に抱えられぬほどは有難迷惑----。 率直に希望を言わしていただくなら、毎月、一日なり十五日なり に少しずつください。これは大変な恩知らずの我儘者の言い分で す。私は僧侶であり、本当のところは自分の誕生日にお花を貰う より、み佛さまにお供えくださる方が嬉しいです。  私にとって大切なのはみ佛さまと皆さまです。そのように申し ても、皆さまの気持ちもあり難しいことです。ともあれお礼まで。 過去を語れば他人と自分を傷つけ       明日を語れば約束と違うことも ■私の生まれたころは昭和大恐慌の最中です。子供に経済のことな ど理解出来る筈もなく、どのような事態があったか存じません。  小学生の時代は、その頃のことを話すと守秘義務違反になりかね ません。小学校時代の同級生が訪ねて来られることもありますが、 観音町の観音院の子供ですから記憶の何処かに私が残ってるのかと 思ったりします。六十年も昔のことを記憶をしている人は少ない。  第二次大戦のことぐらいは覚えています。当時の小学生は礼儀正 しく根性の有る精神に育てられていて外国人が日本へ侵略して来た ら竹槍で突き刺すことくらいは出来たと思います。この凄まじい心 情は学校教育とマスコミの報道などでつくられたと思います。 ▼幼児の思い出としては、両親が二十五菩薩が雲中を移動されてい て、妙なる音楽と良い香りに包まれたという不思議な話をしてくれ ました。正直なことで評価された両親が、子供に虚構を語ったとは 思われません。最近の私たちの考え方では幻聴幻視にしても無理な 情緒環境でしょう。  子供のころは納戸に籠もって講談本などを読みふけって過ごすこ とが多かったと思います。 ■戦後のことを思うと、どうして当時の日本の指導者が占領軍にあ のように従順であったか理解出来ず戸惑うことばかりです。 ▼この頃に堀岡智明というドイツ帰りの先生の許に置いてもらって 書生として仕えていました。  堀岡先生は高野山大学からドイツの大学へ留学され戦争終了直前 の二十年間を欧州で過ごされ、帰国後、広島大学などで心理学の先 生をしておられた。 ▼先生のお使いで、佛教タイムスを創刊された常光浩然さんといわ れるお坊さんのところに再三行って、ガリ版の色刷りなどいろいろ 教えて頂いた。ガリ版用のインクではなく、平版用のインクを使う と仕上がりが良いなどという知識はこの時に知りました。 ▼先生の尊敬する鈴木大拙さんという偉いお坊さんに拝眉の機会を 得、私一人の観客で紙芝居をしてもらうような幸運に会えました。  堀岡先生のご縁で優れて立派な人から個人的に話し方を何度か受 けれたことは大変な果報でした。 ▼堀岡先生は後にアメリカに行きボストンの大学の先生となり、美 術館の東洋部に勤められた。  私が四十歳くらいまで、何度かアメリカに来て勉強をするよう勧 められました。  これらの生涯師匠と仰ぎたい人たちは全て遷化(せんげ)されま した。 ▼今にして思えば、私は多くの人にご恩返しが出来ていない。人生 はやり返しが出来ない。詫びて済むようなことでも無い。何時まで も良心の呵責を負って生きて行くべきだ。それでも四十年という歳 月はご恩を受けたことも、ご恩返しをしなかったことも朧気になっ て複雑な気持ちです。 ▼生まれてから今日に至るまで、また生涯を終えるまで、他人に痛 みを与えたことはあるだろう。生きるということは悪いこともしな がら善いこともすることだろう。 ▼あれこれ話すと関係者に迷惑が掛かる。出来れば死ぬまで沈黙し て、あの世に持って行きます。 ■原爆の被災で父方母方の両祖父母を失った。弟は行方不明、妹も 死んだ。多くの近所の人たちも傷ついたり死なれたりした。 ▼あちこちの焼け跡に煙がくすぼり、瓦礫の間に死者の半焼けの痛 ましい姿があった。生存者も髪の毛が抜けたり下痢が続いた。 ▼食べ物も無かった、着る物にもこと欠いた。屋根はトタン葺き、 壁も戸もトタン板であった。食品工場の焼け跡に沢山の缶詰があっ た。市外の農家から運ばれて来た食料品で飢餓状態は比較的早く回 復したと記憶しています。 ▼翌春は南瓜を沢山植えた。放射能の影響だろうか、咲く花全部が 雌しべで、どの花にも拳だいの小さな南京が付いたが、大きくは実 らなかった。 ■戦犯の裁判や、その他のことは歴史に詳しい。子供の実感として は友達と再会出来、一緒に遊べることは嬉しいことでした。 ▼大人の心痛は大変なものだったと思うが、子供はあのような過酷 な状況の中でもたくましく生きていた。 ■日本人は多くの不幸な過去を体験し、語り継いでいる。だが私は 不幸の程度の大きさについて競争するつもりはない。  この頃の家族構成は祖父母に両親、兄弟は少なくて三人から多い 場合は八人と大家族で、大層賑やかなものでした。 ▼人には様々なタイプがあって、古いことを良く記憶している人も あれば、私のように過去を振り返る余裕の無いほどに目の前のこと に追われて過ごしている者もいる。  何度も思い出せば学習効果とでも言うのであろうか、多くの話が 出来るようになる。幸か不幸か私は守秘義務という大変大きな約束 をもって生きていて、間違ったことを話してもいけないし、正確な ことでも他人の迷惑になることは一切話すことは不可能です。  過去を語れば他人を傷つけることが多く、自分も傷つく、だから 過去について語ってはならないという戒に従って生きています。 ▼私は日記類を書く習慣がない。自分史を書く興味もない。過去に 触れる時は亡くなられた人のことか、あれもこれも混ぜて人が特定 出来ぬよう配慮しています。 ▼回顧して、多くの方々から可愛がられ、ご恩を受けた。皆さまに 厚くお礼を申しあげます。 ※私は小学生以前の幼児期の記憶も沢山あります。幼稚園で母親が 胡瓜の「なます」を昼食に持参してくれ、大きな声で喜び声を出し て母親が恥ずかしい思いをしたことなど。子供のころに胡瓜膾が好 物であった記憶はありませんから、母親の愚痴が記憶を増幅させた のでしょう。幼児期の記憶は不確実です。 ※小学校二年生くらいからの記憶はかなり鮮明ですが、担任の先生 の名前は一人しか思い出せません。ご近所の名字も定かではなく、 母方の祖父母の名前も思い出せない現実です。中学くらいから周囲 の人の介添えがあれば記憶の箱は開けます。  明瞭な記憶事項は全て僧侶としての守秘義務の内に含められます。 経験則が通用しない、恩とか情はどうなる     心配な二十一世紀の日本と若い人たちの将来 ■今まで述べましたことは日本に住む人の誰かさんの体験されたこ とに共通点があると思います。  1999年の七月に天から大魔王が降りて来てと言うノストラダ ムスの大予言なども、それほど大したことではありません。経験則 に基づいて語られているからで、想像が出来る天変地異には対応も 覚悟も出来ます。 ▼地震も洪水も飢餓も戦争も、規模の大小は別として大体のことは 対応する判断力を皆さんはもっておられる。  生老病死についても程度の差はあるかもしれないが、それなりに 受け止められる。 ▼私が最大の脅威を感じているのは、情報と金融技術が英語で支配 されつつある傾向です。  加えて英語圏の文化、生活様式や経済活動などが日本の従来の文 化を押し潰しつつあるようにも思えて心配しています。  早い話が年功序列賃金制度は利益配分というか、目標をどの程度 達成したか評価することで賃金が決められ、権限が移譲される制度 になりつつある。若い時に精励して貢献したとか、永年勤務した忠 誠度などは評価されない時代になりつつあります。 ▼行政改革も規制緩和もいろいろな制度の自由化も、大変な痛みを 伴うもので、戦後の財閥解体以上の国家態勢の解体のようなことが 起きているのではと思えてなりません。  金融機関のペイオフも戦後の農地解放以上の出来事と思います。  お金を預金している金融機関が万一破綻した場合、現在では全額 保証されていますが、2001年の3月から一千万円までしか保証 しない、それも破綻直後は一律に二十万円まで、保証された一千万 円が全部引き出されるまでには暫くの月日が掛かる。定期預金など には保証は無い。このような方向に移行して行きそうです。  どの金融機関を選択するかは「自己責任」という訳です。  それでは中小企業などの運営資金などが凍結、またはペイオフさ れたら連鎖倒産が続出するので、どうするか審議されています。  保険も同様で破綻すれば積立てタイプのものは当然に保険証書は ただの紙切れになります。  勤倹貯蓄の国民がどの銀行にお金を預けるか、これには金融機関 の財務体質の情報開示が不可欠ですが、破綻寸前には粉飾や不良債 権隠しなどの犯罪行為がなされ、一般人には判断が難しく、風評な どで取付け騒ぎが起きる可能性が考えられます。  深刻な問題は年金です。支給年齢が引き上げられたり、極端な場 合に計算が成立しない事態も予想出来ます。医療保険も深刻な問題 で、負担金を増やすか、税金を上げて注入するしか方法はありませ ん。働く人の負担が大変な割合になった欧州福祉先進国の例は参考 になります。 ▼通貨は発行する国の経済状態を反映している筈です。通常は円は ドルとユーロに対して表示されて価値を知ることが可能です。 ▼その他の国に単一通貨が沢山存在します。タイの通貨危機は記憶 に新しいところですが、ドルと固定相場制をとっていてヘッジファ ンドから猛烈に売りあびせられて固定制度を維持しようとして、わ ずか一週間でもてる外貨の全てを使い尽くし、為替変動制に移行し ましたが、大きな経済的な傷を国全体が受けました。 何を幾ら売った買ったの繰り返し        怖い英会話集団の判断と時間差 ■昨今円は一ドル百二十二円前後で推移しています。推移には日本 銀行の介入があります。 ▼市場原理で放置すると日本の経済が大混乱、壊滅的な打撃を受け る恐れもあるからです。 ▼通貨や株価は、国の構造や会社の構造を分析し、買ったり売った りすることが出来ます。 ■個人投資家や顧問投資会社、それに銀行や保険会社など、情報端 末を見ながら(私は見たことがありません)売買をして得をしたり 損をしたりします。 ▼アメリカでは好調な景気を反映して史上最高の株価となっていま す。あちこちで株成り金が出て、一見して幸せの絶頂のようです。  一株十三ドルで買った株価が一万ドルを超えた例もあります。そ の影で運用を失敗して将来の年金を失った人も少なくありません。 ▼日本では預金利息は期待出来ないので、それらは投資へ向かう傾 向が見えます。外貨立てで預金をすれば日本よりは利息が期待出来 ますが、為替で差損が利息を上回ることも有り得ます。 ■通貨や株価の動向を判断する大手は英語で考え、英語で決断する 人たちです。そして通貨も株価も時として傾向に乗るという論理な き集団の動きで上下することがあります。日本語に翻訳し、上司の 許可を得て、英語にして、このような判断の時間の差が損失につな がる恐れが怖く思われます。 ▼九七年の夏のタイの通貨危機、冬には好調と思われていた韓国の 経済危機、九八年にはロシア通貨切下げがブラジルに波及、世界の 金融が破綻しそうな傾向で、バブルの弾けた日本の苦しみに限らず、 世界中が大変です。 ▼売買の判断は人によらずコンピュータの動作でなされている可能 性が高く、差益を求めるソフトは倫理を持たず、相手を選ばす売買 します。このような環境では情報分析と金融技術の知識の差で一国 の経済が左右されます。 ■平成元年に四億八千万円で売られたマンションが先日八分の一の 価格で売りに出されていました。  このマンションを買った人は十年で四億円以上の損をされたこと になります。 ▼日本国内に外国の禿鷹ファンドが上陸し、バブル期の九分の一く らいで日本のビルを買っていると言われます。 ▼株価が上昇していますが、三十%を超える取引きが外国のお金だ と言われます。 ▼これらの外資が何かの理由で一斉に引き上げられたら、日本の経 済は大混乱すると思います。 ■アメリカはバブルの様相もありますが、それを背景にドルは基軸 通貨として通用し、欧州ではユーロが統一通貨になりました。  ドルとユーロは補完関係になると推定されます。  円はとのようになるのでしょうか、行く末に不安が残ります。円 の行方はそのまま私たちの生活と密接に関係があるからです。 ※耐熱性や電気絶縁性に優れた性質を持つPCBは、自然物や生体 に蓄積されやすい性質があって、その毒性から日本では厳しく使用 が制限されていますが、ロシアでは現在でも生産されています。  微量の環境ホルモンの作用は現在もよく解明されておらず、環境 汚染の影響は目に見えない恐怖で、将来が憂慮されます。 ※インターネットに接続されている方ならYAHOO FINAN CEから、株価の銘柄・取引値・前日比・取引き時刻などのポート フォリオを見るとこが可能です。データは最低二十分後のもので、 東証・大証・証券業協会・野村総研・日経新聞などによるもので、 貴方のパソコンを情報端末することが出来ます。 ------------------------------------------------------------------------- 鈴の法話9908-2 1999年の7月に空から降って来たもの      トンネルのコンクリートや防音の鉄板壁など  ヘルメット被って外出する      上を向いて歩こうヨなんて ■物騒ですね。山陽新幹線のトンネルのコールドジョイント部分が 剥がれ落ちて走行中の列車の天井の外側をぶち抜いて、もう少しで 客室に突き抜けそうだった。  東京から岡山までは良い方で、それ以西から博多までは東京オリ ンピックの工事とダブり、海砂を使ったり、いろいろ原因はあるの でしょうが、諸行無常。  諸行無常というのは、全てのものは移ろいて形を止めることなく ずっと変化を続けるということなんですが、使用中のトンネルの壁 や天井が落ちて来ては困る。  高架部分にも、あちこちと劣化が進んでいて、私は新幹線に乗ら ないと言う専門家もいる始末。 ▼都内の高速道路の電話案内の交通標識が根元で折れて落ちて、通 行中の自動車を直撃、調べてみたら規格より薄い鉄板が使ってあっ た。この場合、運転者が空から落ちてくる標識を見て急ブレーキ、 ボンネットを直撃されてパァ。 ▼阪神高速道路の防音壁の鉄板の留め金が緩んで下の一般道路に落 下して通行人の目の前でバァン。 ■今のところ次々と怪我人が出ていないので騒ぐほどのことではな いかもしれない。  造った物は何時かは耐久年限を超えて使えなくなる。耐久年限を 延ばそうと思うなら計画的な手入れが不可欠です。 ▼観音院の建物は三年に一度くらいの間隔で表面塗装を既に三回し ていますが、コンクリート建造物は案外に手間隙の掛かるものです。  一回に三百万円か、四百万円は必要ですが、鉄筋が露出して錆び て膨張して剥離というようなことは先ず防げます。実は、このよう な安心感は適切でありません。まだまだ念には念を入れて手入れす ることが大切だと考えています。 ■で、新幹線で時速三百キロで広島と東京間が四時間、一ヵ月に大 体一往復します。乗物は危ないから歩いて行くのが一番確実なので すが、途中が危険で一杯。排気ガスやら無謀運転やら、オヤジ狩り やら、片道半月も掛けては時間も経費も認められません。 ▼飛行機を利用することもありますが、時間も経費も大体同じくら いで、私はどちらも好きとは言えません。あのような大きな車体や 機体が高速で移動することに不安を感じています。ともあれ、乗っ てる最中は寝ていることが多く、事故に巻き込まれても何が何だか 分からないと思います。 ■敦賀原発の炉心に触れる第一次高圧冷却水を通すステンレス製の パイプに亀裂が入り、数十トンも漏れたそうで、これも自然劣化か 何かの事故でしょうか。他の原発は大丈夫なのでしようか。 ▼さりとて私自身が使用している電気の三十%くらいは原発による もので、これを止めてもらうことは無理です。無理を承知で心配な ことです。新幹線も原発も一度くらいは運転を中止して、丁寧に調 べてみるべきでしょう。日本列島全体が買換えの時期に来ているの ではないかと思ったりします。 ▼丁度、この原稿を打っている最中に、電気設備の定期点検のため の停電があって、僅か一時間ほど停電したのですが、部屋の温度が 31度になりました。一言で閉口です。このようなことをきちんと 詰めて意見を述べるべきです。 人も息切れがしているかも       世の中の動きに付いて行けぬ ■自殺する人が年間三万人を超えたとか、大変に痛ましいことで同 情しています。なかでも中年の事業失敗とか失業者が約六千人を超 えるとか、ご本人に責任はありましょうが、日本経済の捩(ねじ)れ、 歪み、疲れ、現在の長く続く不況に大きな原因があります。  適切な担保と能力のある保証人が無いと資金繰りは難しいと思い ますが、企業の責任者も大変、管理職も大変、従業員全体が大変な んですね。ま、銀行がぶっ潰れるような世の中ですから、みんな大 変なんです。  死にたいようなことがあったら一ヵ月か半年延ばしてください。 他人から思わぬ好意を寄せられたり、新しい出会いに恵まれたりし て、死なずにすんだ人が沢山おられます。  お寺も大変ですよ。私は住職を辞する時に退職金は辞退しました し、職員も一律三十%の手当てをカットして不況に臨みました。  寺のことはさておいて、経済ではアメリカ以外は世界中が大変で す。そのアメリカの体質も決して健全とは言えないようです。株成 り金の陰にスッテンテンの人も沢山いるのが現実です。  日本の土地神話が崩壊したのは痛ましいことでした、それ以上に 怖いのは人情の荒廃です。  人情と言うより、人が、家庭や学校、労働組合、官公庁、企業、 あらゆる人の集まり、全ての組織が荒廃しつつあります。  荒廃は再建出来ますが、少子高齢化社会は荒廃の原因の一つです が改善することは困難です。  人口が減る、子供が少なくなって年寄りが増える。年寄りは生産 性が低い、若い人のお荷物、そのような見方もあるようです。  五千万台を超えた携帯電話、性の乱れ、離婚率の上昇、統計的な ことは実感ありませんが、悩み事をもっている人が増えました。  最近になって気付いたことですが、若い人で性交渉皆無の夫婦が 増えてきました。  病気なら治療を受けられるように、さもなくば努力や勉強をして もらうよう助言しますが、この問題は私には経験不足、不勉強で助 言出来ない場合が殆どです。  物凄く世間が性に開放的になっている反面、性交渉を不潔や面倒 という水準で受け止めておられる人もあり、これは人の聖なる行為 と考え直していただきたい傾向です。  援助交際という熟語で、若い人と収入のある中年以上の人との関 係があります。未成年者と関係をもつと罰せられる条例もあります ので注意してください。  男女の関係はこれが正しいと規定するのが難しい世情です。しか し、配偶者を失った方は一年も経過されれば再婚を考えられること が適切かもしれません。  晩婚化も、本人の意思か、結婚する意思があっても出来ないのか 分かりませんが、適齢期を逃さずに配偶者を見つけるように努力さ れると家族が喜びます。 せめて挨拶くらいは適切に出来るように      礼状も大切です。署名のサインも練習する  「挨拶」は本来は「問答を交して相手の悟りの深浅を試みる」こ とでした。儀式・会合などで、祝意や謝意、親愛の気持を述べるこ とも挨拶と言います。  「挨拶を切る」と言う言葉は人間関係を絶つことを意味しました。 挨拶はお互いに強く自己主張をする、押す、極端な場合は、法律で 禁じられているような「お礼参り」なども挨拶のうちです。  親切にして上げても、お礼の言葉ひとつ無いような交際は上手く 行きません。  親切は本来、反対給付を期待してするものではありませんが、黙 殺すれると無礼になります。  挨拶と言えば型苦しくなりますが、いたわりの言葉と考えたら良 いと思います。  犬や猫でも名前を呼んでやることが優しい人柄の初めです。 ■挨拶について日本で一番だと思うのは自衛隊です。次いで消防署 ・警察の順でしょうか。団体行動は、相互の確認と号令が無いとと れないからかもしれません。 ▼戦前の日本の軍隊は非常に礼節を重んじていました。礼節は礼儀 と節度です。礼は技量ある人への尊敬の念、節度はその人の指示に 従うとでも解釈出来ます。  年功序列は、技量とは関係無い場合も多く、それに対して礼節を 尽くすと言う論理は滅びるでしょう。  技量に礼節が払われないときは大事故も起きかねません。一つの 集団で極めて倫理的で生産性が高い技量を有する人がいるなら、そ の人に礼節は払わなくてはなりません。 ▼一人で行動する、一人で生きて行く場合は各自の勝手です。二人 から三人、人数が増えるに従って指揮、命令系統、服従、誠実さ、 義務と責任などが団体を維持するために不可欠になります。 ▼学級崩壊が問題になっていますが、投票率の低さは国家の重要な 部分が崩壊していることを意味すると思います。 話し合いが成立しない関係          黙殺も否定も嘘も平気で通用 ■学級崩壊で先生が困っている問題は生徒と会話が通じないこと、 何かを注意すると否定する、周囲もその生徒に同調する、注意すべ きものが認められないのですから先生は馬鹿阿呆扱いをされること になります。教員室の人間関係が価値観の多様化を原因としなまで に無秩序に崩壊している場合が少なくありません。 ▼生徒の多くは携帯電話をもっていて、文字のモードで教室内、場 合によっては校外と会話している場合もあります。授業中であろう となかろうとペチャクチャ喋っている子供もいます。 ▼話し合いたいと職員室に呼んでも来ない。まるっきり無視される と先生も大変です。挙げ句の果ては登校拒否、保護者は教育が悪い と言います。 教育には教師に命令権が必要          厳格な範囲で処罰を可能に ■子供の親も社会にも多様な教育観が出来ています。少数の私立の 規律正しい小学校はありますが、多くは親の多様な教育観に振り回 されています。義務教育の段階で、教師の教育論、乃至、教育観を 統一し、それに従わない教師には校長や教育委員会の懲戒権の確立 が必要かもしれません。 ▼不当な懲戒には組合がありますから、抗議も調停も申し立てられ ると思います。 ■好きなことを勉強することも、厭なことを勉強しないのも、どち らかを選ぶのは自由です。勉強は自分で研究的にすることと、教師 に教えてもらうことと二通りあります。義務教育の過程で研究的に 子供が勉強出来るかと考えると強い疑問が残ります。 ■義務教育過程で特色ある自由教育を打ち出した私立学校が上手く 運営出来ない現実、子供に野放図な自由を認めると、学校は簡単に 液状化現象を起こします。 ▼日本の教育を変えると期待され、自由教育を掲げる 明星学園、 自由の森学園は崩壊しました。喫煙をする、掃除をしない、授業に 出ない、暴力、学力低下、教師の勝手放題、授業料の不払いなど。 ▼自由で、勝手で、礼儀しらずで 学校を卒業して社会人になる。 社会は通常は利益配分であり、雇用契約であり、就業規則は校則よ りは強い指揮命令作業系統が懲戒も解雇もありますから、適応する ために苦労する子供も多いでしょう。 ▼社会全体から倫理観とか、使命感がなくなり、楽と金儲けが横行 すると、どうなるのでしょうか。 二十一世紀をどのようにするか         皆さんとご一緒に考えたいと ■二十世紀はいろいろな意味で大変な激動の百年でした。激動の中 で「思いやり、いたわり、いつくしみ、相手の立場で考える」こと などが大きく失われました。倫理道徳も歪(ひず)んで行きつつあ ります。 ▼原子爆弾の開発、使用は大変に不幸なことでした。核軍縮が唱え られながら核拡散の兆しが見えることは大変に残念なことです。 ▼遺伝子の操作による動植物の対応は、自然の摂理(せつり)を超 えたものであり、結果が想像出来ない怖い事態が請来されないか気 掛かりです。 ▼教育・宗教・政治・経済など、いろいろな文明文化が圧縮された ような感じします。圧縮されたものは元に戻ろうとしたり、爆発し たり、小さくなったままであったりして将来像が予測出来ません。 ▼科学は日進月歩で情報の処理や伝達は想像が出来ない発展を遂げ て利用の仕方によっては諸刃の剣になりかねません。医療の分野は 奔馬を御するよりは難しいくらいに生命を扱っているように思えて なりません。 ▼今世紀の企業の合従連衡(がっしょうれんこう)は想像を超えて、 国家さえ合従連衡の範囲に含められかねず、ともすれば偏在しがち な富を一層偏在化させる恐れがあります。特にヘッジファンドのよ うな金融技術は世界的な規模で監視する必要が生じて来ているよう に思います。 ▼大国中国は中性子爆弾の保有を公表しました。ミサイルや核弾頭 を保有することは技術の高さを示すものではなくて、平和に対する 恫喝(どうかつ)のように思われます。 ■限られた資源の乱開発し、環境汚染を広げる、これは一国の問題 ではなくて世界中の克服すべき課題です。条約の締結が望まれます。 ■最後に、マスコミには人々の願いと幸せを広める役割を強く期待 したいものです。 ※どのように工夫し、どのような材料を使い、最新の技術を注ぎ 込んで拵えたものでも、永久に使用出来る物や、疲労脆弱化しな いものは存在しないのが真実。「全てのものは常に形を変へなが ら一時も止まることなく壊れて行く」。それを安全に使うには余 程の維持管理が必要で、気を抜くことは出来ぬ。 ※人の心も移ろい易いもので、固い決心が脆くも崩れたり、約束 が破られたりするのが普通。「変節」は人の常で非難出来ない。 さりとて人は、何かに頼りたいし、誰かに縋(すが)って生きて 行きたいのも当然。  他人を当てにするのは普通のことだが、見返りに自分が何を提 供できるか考えて置かないと人間関係の崩壊。 ※人から「情」が失われ、自分の損得だけで行動するものが増え た。「相手の立場で考えられない人は、自分の立場で考えてもら えない」のは当然のことだが、このような傾向が広がると組織や 団体は成立しない、また国力も著しく下がり、財政が破綻したり、 老後が無くなったりする。自由には責任と義務。 ※今回は疲労気味で、私も「観自在」も脆弱化したのかもしれな い。必要とされたものも、自戒を忘れ、維持する態勢を調えない と、橋梁やトンネルのように奇怪な事態が続発する。無理をして も続かないが、今、自分のさせてもらっていることに感謝を忘れ ると、破壊とか消滅とか、良い方向にはならない。
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