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鈴の法話 ----全てに愛を光と祈りを----1999.2月  我慢して辛抱して信頼されること  甘えや、わがまま勝手が身を滅ぼす        いい思いをしている者はいない時代                    観音院 法主 鈴之僧正  失業率が統計史上過去最大になっているそうです。ハローワーク (職安)の求人ニュース「チャンス」を見る機会がありましたが、 中高年を対象としたものは、皆無の状態です。多くの企業や組織、 官僚さえも例外ではなくて、人員削減、場合によっては職場そのも のが整理されてしまう傾向があるようです。終身雇用は完全に崩れ たようです。新卒の就職も大変に難しいのが実情で、多くの相談を 受けますが、この現実を理解できない人は、社会から落ちこぼれて しまう危険性があります。 日給百円で働く人たちもいる       日本のあなたから世界のあなた ■この一、二年の間の規制緩和やグローバル化には目を見張るよう な社会環境の変化でついて行くことが、とても難しいようです。  私たちが着用している法衣も京都で織られて、仕立てられてと筋 道が決まっていて、糸から法衣ができあがるまでには多くの専門職 がいて、それぞれに親から子へと技術が伝えられ、人間関係と相互 に依存できる経済環境があって、外部から入ることは難しく、それ だけ安定していました。  今、多くの法衣は中国からベトナムへと生産地が移りつつありま す。人件費が安いところへ技術が移転され、日本の産業の空洞化が 進んでいるようです。  多くの佛像佛具も注文先は国内であっても生産地は外国である場 合が少なくありません。  中国人が住んでいるところは漢字圏ともいえます。そこの印刷所 に依頼すれば格安で印刷物を作ることが可能です。  とはいえ、台湾とか上海、シンガポール、マレーシアなどに印刷 物を発注するのは無理でした。  原稿を渡したり、校正したり、納品をしてもらう上で時間や運賃 などで不可能でした。  現在では、インターネットの普及で、原稿を渡し、校正をする時 点までは、外国も、市内も同じ費用です。印刷所の諸費用は日本が 一番多く掛かります。安い国の印刷所に注文すれば、格段に印刷費 が安くなります。  問題は運賃と時間ですが、国によっては、航空便で皆さまのお宅 へこの「観自在」を送る方が日本の郵送費より安いかもしれない、 直ちにこのようなことをしようとは考えていませんが、印刷屋さん と一緒に考えてみなくてはならないかもしれない課題です。  お寺で使いたいものに、昔風の蝋燭(ろうそく・和蝋燭)があり ますが、これが相当高価なものです。数少ない職人さんが手作業で 製造されています。価格の大半は人件費です。ところが、同じよう な蝋燭を、東南アジアの奥地で細々と生産していて、日給がなんと 三十円、少し技術指導をすれば使えると思いました。  なんだか大変なことが起こりつつあることに気付きましょう。 ロシアの経済危機は深刻で       場合によっては低賃金労働力に  昨年八月にロシアはデフォルト(default )の状態になって対外 債務の元利支払ができなくなり、世界経済に大変な影響を与えまし た。通貨のルーブルが外国のお金と交換できなくなったのです。  日本の長期信用銀行とよく似た名前のアメリカのヘッジファンド を取り扱ってるLTCMが破綻しかけたのは、ロシアのデフォルト に間接的な原因があるそうです。  難しい話は私には説明できませんが、ロシアでは公務員や国営企 業の賃金が何ヵ月も払われないようなことが起きているようです。  モスクワの一四〇〇キロ北にボルクタという炭鉱都市があり、冬 は零下四五度にもなる極寒の地だそうですが、最盛期に普通の二倍 半の給与で労働者が集められました。ところが燃料が石油系に切り 換えられて炭鉱は閉鎖されることになったそうです。さて、労働者 を南へ移住させなくてはならないけれども国に予算がないので、ど うにもならないのだそうです。  簡単にいってしまえば国家の倒産的状態とでもいえましょうか。 裏付けのない通貨の増刷で物価は上昇し続けています。  ですが、国の経済が破綻しても国は破綻的になるだけで、ロシア が無くなるというものでもなく不思議な感じです。  ところで、私が話したいのは実は「割り箸」のことです。割り箸 は杉のような材質の丸太を煮て柔らかくして、箸の薄さに剥ぎ、そ れを機械に掛けると、連続して割り箸が製造されます。  この機械一式をロシアの森林地帯の近くの都市にもって行き、割 り箸工場を作れば、材料は有る、人件費は安い、上手く行きそうで すね。ところが多分駄目だと思います。電気が安定して供給される 保証が無いからです。  詳しく調べていませんが、もうこのような工場の海外移転はいく らでも例があると思います。  最近、鮮魚が値段を下げているようです。私たちが食べている魚 の多くは輸入品です。  瀬戸内海でとれた蛸(タコ)とアフリカ沖でとれた蛸が食品売場 に並べてあるのは悲しいことです。  私が使用している日用雑貨の多くは中国製品です、靴下は何処か の国の毛糸の手編みのように思います。  このところ各地で百円ショップという雑貨屋さんが客を集めてい るようですが、どこで生産されたものか、流通の歪みで換金処分さ れたものか、よく理解できませんが、生産国に関わらず品質はまず まずです。物の生産が日本だけでは考えることが困難です。  インドネシアの土産に北海道の熊の木彫りが売られていたりする ような奇妙な例もあります。 人々が国から世界へ放り出され       大競争時代の中でどう生きるか ■大不況の中で規制の多くが撤廃され、国境で区切られた国民国家 が衰退し、市場型国家が主役になり、世界を股に掛けた超国家企業 の輪郭が見えて来つつあります。  壊れるものは壊れ、新しい時代に必要とされものが勃興しつつあ ります。情報と流通に革命的な変化が見られます。  これらの動きに私たち人間も当然に振り回されます。事態が理解 できない人は置いて行かれます。  大きな銀行や証券会社が破綻したり、有名な会社が倒産したり、 ドルで買物ができるようになったり、携帯電話は十一桁になるなど の変化が起きています。  多くの企業や組織がリストラといって人員を削減したり、公務員 の削減が計画されています。  このような中で、従来の年功序列賃金や雇用のあり方に大きな変 化が生じています。  国内だけで物事を考えることができなくなりました。  あなたは何ができますか…、ただそれだけで職を得たり失ったり することがあるようになりました。  サービス業においては能力に加えて行動の表面に出る表情や言葉 や態度も重要な評価の基準になっています。  その上にどのように事態が変化しても信用とか信頼のようなもの は当然に大切にされます。  ただし、立派な技能を有し、良い人柄の人であっても、求人が無 ければ就職はできません。  仕事が無い、優秀な技能や知識をもち、加工する工場があっても 物が売れない、どうしてこのような事態になったのか、単純に考え れば、需要が無いと一言で言えますが、どうもそれだけでは説明で きない仕組みがあるようです。  食品に賞味期限があるように、大半の物には耐用年数があって、 使っている内に必ず買換え需要が発生するものなのですが、皆が辛 抱しているのでしょうか。それも当てにならないようです。  国も自治体も維持費用の掛かる無駄な設備をして、有っても無く てもよいような設備に職員を配置して、日本中に美術館や立派な会 議場や展示場ができて、工場用地が造成されて売れ残っている。  そのような単純なことでもないように思われます。原因が明確に なれば処方箋の書きようもあるとおもうのですが、社会の構造の劣 化や脆弱性、免疫の低下などは、まるで新しいウィルスの蔓延のよ うに手をこまねいているのが実情のように思われてなりません。  新資本主義と言われるものの実態が良く見えてきません。  規制の緩和や撤廃、情報や物流や人材のグローバル化、組織の統 廃合。投機的資金の運用の問題。基軸通貨の問題、IMFの問題。  情報革命が地球的規模で時間と距離を縮め、高度に構築された今 までの社会の人、もの、資本を再配分適正化する軋みの実態が認識 できないところに不安があります。  今後の世の中では、如何に情報を速やかに広範囲に深く正確に収 集するか、そこに世の中に支持され必要とされるアイデアや技術が あれば、必要な資本・資材・人材は国境を越えて集約されます。  それにしても不安定要素は大きくなり、国や政策に頼っていては 生きて行けなくなり、組織や事業の独自性・独立性の確立は大変な 課題です。  早い話が国家に保証された老齢年金制度は、設定された時の計算 式に過ぎず、維持することが困難になりつつあります。  このような屁理屈を延々と述べていても実際には何が何だか良く わからないのが私の実際です。  私ができるのは、マルクスやエンゲンスの追善法要をしてあげる のが関の山です。多くの皆さんも私と同じことでしょう。 ユーロ誕生・欧州単一通貨          人口二億九千万人の経済圏  1999年早々にドイツとフランスなど欧州連合十一ヵ国が単一 通貨ユーロを導入しました。  現在の基軸通貨はアメリカのドルですね。アメリカは二億八千万 人、これに匹敵する基軸通貨がもう一つできたわけです。  市場の安定、国債市場の整備など、加えてヨーロッパから永久に 争いや戦争を無くする優れた制度と言えましょう。  ところで、世界第二の経済大国である日本の円は当然三極の一つ として基軸通貨の候補に上がりそうなものですが、これは大変に困 難なことが山積しています。  先ずはアジア近隣諸国、韓国、中国、台湾、マレーシア、シンガ ポール、タイなどの関係を考えてみたいもので。同一地区内として 通行を自由にし、関税を無くし、同じ呼称の通貨を使うとしたら円 になるか元になるか、中央銀行を何処の国のどの都市に置くか、イ ンドネシアやカンボジア、ベトナムは、北朝は、と考えると、歩調 を合わせるどころか、話し合いのテーブルにつけるか、どうかさえ 疑問に思えてきます。しかも人口はアメリカや欧州の数倍で、情報 伝達や物流の整備が遅れています。  一番大きな問題は主導権のような水準に達しない感情の「揺れ」 が収まり難いでしょう。  東南アジアの困難はこれからも続くと思われます。  これを良い方向に向けるのは私は日本の責任だと思います。第二 次大戦の本当の意味の終結は東南アジアの往来が解放される、通貨 単一となることで完結すると考えていますが、そのためには日本人 は我慢や辛抱、協調や相互扶助など、大変な努力が必要なことは想 像できます。  上手く平和的に物事が運ぶには生活水準の横並び、生産性や賃金 の問題など、格差が有り過ぎると望むほうが無理です。  欧州の過去を考えると歴史的認識がどのようになっているか実感 が掴めませんが、東洋の過去についての歴史的認識の相違を将来に 向けて統一して行くことは、より多くの困難が予想されます。  将来を悲観的に見ることは慎みたいと思いますが、ヨーロッパは キリスト教社会という鍵がありましたが、私たちの近隣諸国には許 容受忍する鍵が見当たりません。  私は日本が第二位の経済大国であることから第三の基軸通貨の誕 生の可能性を期待しましたが、運が悪いと日本が跳ね飛ばされるよ うな感情が残っているでしょう。  安らぎと自尊心は両立しないかもしれません。自由と公正が同時 に保証されることが少ないのと同じように思われてなりません。  感情の問題は別にしてもベンツとクライスラーの例や欧米の銀行 の提携など、市場の変化は何が起きているのか理解できません。  ですが、悲観的な見方は良い結果にはなりません。今日の不況で 多くの金融機関が整理統合され、組織や企業はリストラに向かって 努力しています。  今、個人にとって大切なことは何ができるか、それは外国に出し た時にどれくらいに評価されるかという自分を知ることが大切だと 思います。  弱者に優しいグローバル化は有りえません。旧来の日本的な甘え や年功序列は無くなるものと考えて、国際化時代を逞(たくま)し く生き抜くような覚悟を決めて、強くなられることが大切です。 ※最適調達。物を調達するに当たり、生産地とか従来の取引きなど を考慮せず、品質・価格・運送経費などで考慮すること。  情報の革新によって、どこで、何が、幾らで作られ、どのように 運搬されるか評価や受発注が可能となった。何かの生産地という概 念はなくなりつつある。どのように出来るかが大切に。 ※スペインの失業率は十八パーセント、ドイツは五パーセント、賃金 はスペインの方が安く、労働者の技能の問題はさておいて仕事の多く は労務費の安い方へ流れる性質があります。欧州中央銀行はドイツの フランクフルトに決まりましたが、欧州統合の将来は決して容易なも のではありません。大変ですね。 ※1999年はどうなるか、ハルマゲドンはナンセンスですが、経済 は立ち直って欲しいものです。史上最大の公的資金を注ぎ込んで、こ れで景気が多少なりとも上向かないと、政治の責任が問われます。  さりとて、一国の政治で経済の世界的動向を左右することは困難で、 日本はとても難しい立場にあります。 ※物事を改革し、再編する上で一番大きな困難は、従来の枠組みの中 で生きて行きたいと願う構成員の意識改革です。時の流れに竿を差す ほどの考え方があるならともかく、自分の都合だけで希望を述べてい ると、変革する器が、受け入れてくれない場合があります。急変する 周囲の状況に適応対処して下さい。 -------------------------------------------------------------- 2000年問題も世紀末もぼつぼつと       済んでみれば只の二年、気にしない  一九九九年の七月、或いは八月に、もしかすると九月に「何かが 起きる」とノストラダムスの大予言に書いてあるとか。  神の言葉を預かり、他の人々に知らせる人のことを予言者といい ます。特に旧約聖書では前七〜八世紀におけるイスラエルの宗教的 指導者。コーランではアダム、アブラハム、モーゼ、イエスらを預 言者とし、ムハンマド( マホメット) はその最後の人物とされると 広辞苑にあります。  広辞苑にはノストラダムスの項はありません。大予言という熟語 の項目もありません。  ノストラダムスなんてものを日本に紹介した人は迷惑な人です。  この大予言を信ずる人は馬鹿です。空から魔王が下りてくるなん て阿呆らしいことです。  平家物語の冒頭に「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響あり。娑羅 双樹の花の色、盛者必衰のことはりをあらはす。おごれる人も久し からず、只春の夜の夢のごとし。たけき者も遂にはほろびぬ、ひと えに風の前の塵に同じ」とありますが、「禍福はあざなえる縄の如 し」という諺通りに「この世の幸不幸は、より合せた縄のように、 常に入れかわりながら変転する」するのが世の中の普通のあり方で す。  宇宙人とかUFOと連絡がとれる人とか、このような話はいい加 減にして欲しいものです。  地道な勉強をしていない人や、小賢い人が目立つ方法として、理 屈や道理で説明できないことを自分の主張を唯一無二の体験談のよ うに語るのは、愛嬌を通り越して見苦しいものです。  例えば私も確実な不幸の話をすることが可能です。「今年と来年 に五十人に一人の人が死にます」。これは平均寿命を百歳と期待して 計算した数字で、実際にはもっと多いと思います。  統計的にいえば一年間に二四万組、二分十秒に離婚が届けられま す。離婚は普通は悲しいことのように思われますが、実際には「こ れからやり直す」ことができる第一歩という場合が多く、一件落着 の場合が多いようです。  実際には、離婚届を出すまでが辛いことが多いものです。  今年交通事故で亡くなられる方は一万人につき約一人、減少傾向 にありますが、シートベルトの着用が死者の減少に役立ちました。  一兆円の公的資金投入という話を聞いたら、赤子から高齢者まで 皆さん一人当たり一万円と受け止めるとニュースの意味がより的確 に理解できます。  五十兆円の公的資金の投入という話は「国民一人当たりの負担は 五十万円」だなと理解すれば大体間違いないと思います。 分かりきった事でも、言っては       ならない事が沢山ある人間関係  子供が生まれれば、老病死を避けることはできません。しかし、 生まれてきた子供を「この子もやがて死ぬ」とは絶対に言ってはな らないのが人としての常識です。  「おめでとう、幸せに健やかに成長するように」、このように言 うなり願うなり祈るなりするのが大切な行儀作法です。  同じようにお正月早々に「今年はノストラダムスの大予言によれ ば天変地異がある」なんて言う人は行儀が悪く、言うことが作法に 適っていないと考えましょう。  私は立派なビルが建った時は、そのビルを取り壊す光景が瞼に浮 かぶような一面をもっています。  これは大切な考え方で、例えば自動車の生産に際して廃車後の処 分やリサイクルについて研究をしていない会社はありません。  ですが、友人が新車に乗って遊びに来たら、良い車だと言ってあ げることが大切です。  多少は羨ましく思うようなことを言うのも悪くはありません。こ れも程度物で、あまり羨ましがると厭味になります。  横に乗せてと頼むのは大丈夫ですが、運転させて欲しいと希望す るのは厚かましい人です。断るのが難しいし、壊されて無保険だっ たりしたら、愚痴の種蒔きみたいなことになります。見せびらかす 罰(ばち)かもしれません。  話題がずれてきました。会話をしている時は話の流れにそうのが 行儀作法です。全く噛み合わない発言は時間の浪費です。鰯とメダ カを一緒の鉢に入れてはいけません。ここまでで、ビルの建設中に 取壊しを考える云々は余談です。 質問が的確でないと       珍妙な返事が返ってくる  これは総務課あたりで、あちこちで経験される会話です。  「何で東京に行って来た?」、「飛行機です」、「そうでは無く て目的と用件」。管理側は用件と出張の許可の有無を聞いているの ですが、最近はトンチンカンな応対が増えてきました。  「どうして遅刻が多いのか」、「時差出勤制度はどうでしょう」、 「SOHOでも構わないょ」と、これでは人間関係の熟成は難しく て組織が成り立ちません。  「上司と相談して何の目的で幾らの予算で東京に出張しましたか」 と聞くべきですし、「朝は皆で朝礼をして、その後会議を開いて一 日を始めたいので遅刻はしないよう努力してください」と話題を運 ぶべきだったのです。  言葉は使い方によって人間関係はおろか職場を壊すことも珍しく ありません。  「言」は「誓い」のような性質をもっています。「辞」には弁明 のような意味が含まれていることを頭に置いて使いたいものです。 「男が一旦言葉にした以上は・・」、は間違いです。男女を問わず 「言葉」には強い責任をもちたいものです。  言語をもったことは動物の中での人間の尊厳をもつできごとでし た。宗教は言語を母胎としています、生命ある生き物の中でこれは 極めて大切なことでした。  文化も文明も言語の上で成立しています。その多くは、言語に契 約同等の役割をもたせて、その集積が現在の世界といえます。  郷に入れば郷に従えという諺の最初は「その土地の言葉」です。  そのような意味では今春成立した欧州連合は言語の相違が今後の 一番大きな障害となるでしょう。  壮大な実験で、これで国境が無くなり、戦争が無くなり、往来が 自由になれば素晴らしいことです。  私は建前として欧州連合の成功を願いますが、実は大きな疑問を 感じています。これは固有の文化を越えることは大変に困難なこと だと思うからです。 欧州連合は大胆にして、且つ寛容       各国のさまざまな格差はどうなる  欧州十一ヵ国が欧州連合(EU)に加盟して単一通貨ユーロを発 足させました。中央銀行がドイツに置かれます、まさに恩讐を越え た大英断で欧州人は過去の過ちにこれほどまでに寛容であったとは、 大変な驚きです。  スペインの失業率は18%、ドイツは4%台、この経済格差は生 半可なことでは埋められません。  統一のため昨年末までに各国の金利を収斂させたばかりです。こ れからは加盟各国の金融政策は強い拘束を受けることになります。  ロンドン市場の対ドル初値は1.16ドルでした。そして早速の 円高、ユーロ高、為替のことですから明言できませんが、ドル安が 進むと失速する企業が少なくありません。通貨が実際に通用するの は2002年から、それでもドル安傾向、円もユーロに対して安く なると思われるので、余裕がある人はユーロ建てで預貯金なり債権 を買っておくと楽しそう、不確実情報ですから、半信半疑でどうぞ。  ユーロによって欧州旅行は便利になります。国境を越える毎にマ ルクだフランだ、リラだ、ペセタ、エスクードだポンドだと一々交換 しなくても旅行小切手で、すーっと通れます。  両替屋さんは商売が駄目になりますが、どう救済されるでしょう。  その他に各国は税制を統一できないことや、福祉制度の違いなど  で、混乱が続きましょう。  ここら当たりまではお坊さんの寝言です。見てもいないのに、関 わってもいないのに、新聞テレビの自己解釈、こんなに自信の無い ことを文章にするのは忸怩(じくじ)たるものがあります。  言葉や文章は怖いものです、ここまで読まれて、大きな矛盾を感 じられたでしょうか。  ほんとうは、かかることに口出しをしたくありませんが、皆さん も十分に用心して下さることが私の願いです。 二十一世紀が気掛かりです        どのように私たちの子孫は  20世紀の前半から日本は欧米の文化を手本にして国づくりをし て来ました。  この50年間はアメリカの影響下にあったと言っても過言ではあ りません。  日本は資源に恵まれず、物を大切にし、国民全体に教育が行き渡 り、全体が非常に器用でした。今でも箸を使って試験管の中の物を 摘み出せるような人が普通ではありますが、従業員二、三人から十 数人程度の小企業が壊滅的状態にあります。加えて農水産業は採算 が取れなくなるほど沈下しています。農協や漁協を見ると農水産業 の実情がよく理解できます。  資源の無い国が選ぶべき選択は多くはありません。その上にこの 度の金融危機、これは恐慌とも景気の低調とも、いろいろ言い換え ることはできますが、どうしても乗り越えなくてはならない問題が あります。  内需を拡大することは多国間にあって当然に要求される立場です が、これは絶対的人口から生まれる需要の総量と限界のある国家予 算など、しわ寄せが十年後には子供たちの肩に掛かります。  その頃には年金財政の資金繰り悪化や未償還の財政赤字債権で子 供たちが苦しんでいるように思えます。貿易赤字は先ず無いと思う のですが、経済の将来を予測できるくらいなら、今日のような景気 の低迷も無いわけで、これは不確定要素が多過ぎます。  さりとて、金融国家にするにはヘッジファンドとかデリバティブ とか、国をあげて博打打ちになるようなもので、安らぎはありませ ん。銀行や保険、証券会社などの互いの垣根は無くなりますが、こ れはコンピュータゲームの戦争みたいなもので、まあ今の日本国民 の総預貯金ほ全て投入すれば、世界市場を牛耳れないこともないと は思いますが、本当にエコノミック・アニマルになりかねません。 書いたよう言うようになる怖さ      言葉の中に明るい希望を込める  佛教界で拝むことを、よく使われる例えにすると「念ずれば花も 開く」と言います。  日本人の器用さ、辛抱、繰り返す学習性、これらの伝承を上手く やれば、21世紀は日本にとって決して暗いものでは無いと楽観し ていますが、何かと蔑(さげす)んで話を進めることは容易です。 世紀末の混乱を説いて人を不安に陥れるのも簡単です。  他人を蔑むことは、自分を蔑むことになります。世紀末の不幸を 説く人は、自分の存在を否定することになります。  何もしないで、楽観的に生きて行こうと説くのも危険です。  成すべきことを成して、努力すべきことをこつこつと努力し、そ の結果について良くなることを期待するのは当然のことです。  仕事についても、人間関係についても、経済においても、すべて に協調することは、極めて大切な課題となるでしょう。  大国が滅びる大きな原因は奢りです。日本にとって大切なことは 奢るべきものが無いことをしっかりと認識することです。      小さな島国で資源は乏しく、高齢者が多い国、謙虚であれば手を 出される理由などはありません。  幸か不幸か世界で二番目の経済大国です。しかし、国家財政は大 赤字で、失業者は増加する傾向にあります。その上に地域振興商品 券を配付するような変な政策もとられました。欧州の多くが社会主 義の合従連衡政権になったのと同じような傾向も認められます。  どうやら国会議員のリストラもなされそうな雰囲気です。お役所 の構造もリストラが期待できます。  近隣諸国とは、韓国を筆頭にして明らかに良い方向に変化の兆し が見えます。  二月、六月の北の危機説、中東の暴発説などは怖いことですが、 まことしやかな噂に同調したり、怯えたりしないことです。  現在の低迷する経済の中で怖いのは評判です。企業の吸収合併や 整理などは当然あります。このような噂を聞いた時に疑心暗鬼にな らないようにして下さい。  さらに大切なことは自分について、他人の信用を失うようなこと を言ったりしたりしないこと。  誠実に努力していますという看板を掲げて中身が一緒になるよう 表現や態度に気をつければそれなりの将来が開けます。 ※末法の時代とか段々悪い世の中になるとか、どうして人間は取り 越し苦労がしたいのでしょうか。人は生まれた以上、普通であれば 祖父祖母、父母を見送るのは自然のことです。自分の子供さえ思う ようにならないのに、世間の子供の心配までするとは、皆さんの老 婆心も過ぎたるものと思うのですが。 ※21世紀は情報革命の時代になりましょう。できれば笑顔の情報 を伝えたいものです。ふくれっ面は、最初の情報伝達でシャットア ウトされます。間違い情報は論外です。先ずは日常のメールなどの 取扱いで、権限を越えていないか、全体の方針に反しないか慎重に、 迂闊に発信すると職を失うことに。 ※SOHO(Small Office Home Office ソーホー)        …茶の間でできる小さな事務所? ※寛容さと信念と自信と希望をもって、世のため人のために尽くし なさい。労力を惜しまず働き、良く勉強して、慎重に考えなさい。 世の中がどのように変化しても、誠実で、良く働いて、知恵がある 人は生き残れます。あれこれ心配しないで、人間関係を大切にしな がら、みんなで仲良く生きて行きましょう。 ※二十一世紀にのぞむ生き残り対策は、真面目さと勤勉です。情報 は一瞬にして伝達されますので、いい加減な態度で仕事をすると職 を失うことになりかねません。求められるものは確実で利益を産む、 リスク回避の情報です。後は何時の時代でも、良い人間関係ですね。 仕事は真面目さで死守することが大切。
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