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鈴の法話 ----全てに愛を光と祈りを----1999.1月号 (2003.6更新)

 観音院の運営と優しさを広めたい
       東京事務所の目的と意義、今後の方針

                 観音院 法主 鈴之僧正

 多くの寺院さまが観音院に見学に来られました。観音院の設備や職員
の教育について、勉強されました。でも、どうしても教えて上げられな
いものがあります。それは「親切」とか「相手の立場になって考える」
ことでした。東京に事務所を置いたのは、教えて上げることが出来ない
寺院の運営を、私たちの手で造り、それを世の中に提供することです。
維持費用や色々とご心配を下さる方もあります、観音院の考え方の実現
は大変だとは思いますが、担当者は誠実に努力して下さい。

 東京付近の方は協力して下さい
        担当責任者の自覚が大切です

■観音院の東京事務所について、あらぬ噂が立ちました。経費的に
無理が生じていて撤退を考えている、とか、観音院が東京で儲けよ
うと思っているなど、などです。
 人の口に戸は立てられませんが、仕方ないことです。でも根拠の
無い噂はここで否定しておきます。

▼東京事務所の目的
一、東京近辺の信徒さんにサービス(奉仕)すること。
二、東京都内に観音院の別院を開設する準備をすること。
三、日本の空港の大半について、羽田から便利良くアクセス出来
 るので、日本中に東京事務所からサービス出来ること。
四、東京別院の建設については焦る必要はなく、御仏様の心次第
 と受けとめて計画すること。
五、経費について、東京事務所を設置した理由は一に東京近辺の
 信徒さんのサービスですから、独立採算でやれるとは思ってい
 ません。担当者が善意を発揮されて、いつの間にか独立した会
 計で運営出来ることがあれば御仏様の心にそえたのでしょう。
六、現在、東京に別院を建立して広島の観音院と同じような寺を
 東京に置けば、都民には喜ばれますが、広島から多額の経費を
 計上することは考えていません。
七、寺院は必要であれば自然に建つものです。都民が必要とされ
 ないなら東京観音院は建たないと思います。無理はしません。
八、観音院は運営と経理は完全公開の寺で、運営の主体は信徒さ
 んですから、今後も常識の範囲内、公序良俗と十善戒の範囲内
 で運営して行きましょう。

■ところで、従来ですと、観音院の職員が東京に行く際は普通二名
で、宿泊費等を考えますと、現在の段階で経費は今までと大体同じ
か節約になります。
▼当初、東京事務所に電話回線を二回線引いたり、パソコンのマッ
クの高機能な機種を設置したり、お大師さまを祭ったり、両界曼荼
羅を求めたり、釈迦涅槃図を掲げたりと、多少の費用は必要でした
が、反面では東京近辺の信徒さんに対するサービスは当然に向上し
ましたし、情報収集などの面では相当便利になりました。
▼広島・東京間は新幹線で約四時間、飛行機は早いようで待ち時間
や乗り継ぎなどを考えると、大体同じくらいの時間が掛かります。
 以上のことは、今更言うまでもないことです。

 担当責任者には相当に精進して頂く必要があります。
 東京に腰を落ち着けて、昔風にいえば、骨を埋める覚悟で精進し
て下さい。決して出稼ぎではありませんし、不要な人だから東京に
飛ばされたのでもありません。多くの人に好かれて、誠実である、
信頼出来るからこそ東京を任せられたことを自覚して下さい。
 広島の観音院について東京から心配されることは何もありません。
安心して東京に専念して下さい。
一日も早く代理が勤まる職員を養成し、奉仕者を集め、時間がとれ
るようになれば会議等に皆さんが集まれる態勢を作って下さること
が大切です。


 十善戒を基本にして運営を
        相手の立場で考えて下さい

■東京事務所が所期の目的を果たすためには、十善戒を基本として
来られる人の立場になって考えて行動して下さい。
 今、東京では高い戒名料や高い葬儀の読経料などが、マスコミで
問題にされています。
 東京観音院は都民に奉仕することを基本として下さい。広島観音
院から担当者の生活費などは保証されていますから、無料で戒名を
付けて上げること、無料で葬儀をして上げることも可能です。

 大きな善意で、御仏様の慈悲のあることを東京で示して下さるこ
とが大切になります。
 一番大切なことは来られた人に親切にすることです。この場合の
親切とは、茶菓子や食事を接待すること、優しく対応し話を丁寧に
聞いて上げること、悩み事の相談に乗って上げることです。
 もし、私が直接に東京を担当する立場であれば、六畳一間の長屋
の一軒を借りて始めたと思います。
 あちこちで見かけたホームレスの人たちと心情を一緒するような
つもりであれば立派です。
 弱者や高齢者の立場に立って物事を考えて下さい。
 思いやり、いたわりも、高い視線からではなく、視線を同じくし
て、皆さまと接して欲しいのです。

■特に心して頂きたいことは、観音院の東京事務所は、担当責任者
の「ものの考え方」に強く影響されます。全て担当の責任とは申し
ませんが、私の本意あるところをよくよく理解下されて運営をして
下さるようお願いします。

 ある意味では担当者は誠実さを買われて、信頼の上に東京事務所
の責任者になられた次第ですが、実際に赴任されてみると予想され
たことと異なる事態が沢山あると思います。

 これは東京事務所に申し上げているのではなくて、全ての部署の
責任者、観音院に限らず、社会人として責任ある地位にある人は、
予想通りに物事が運ぶことは珍しく、予想されざる事態に遭遇した
場合の判断力を問われ、些末な部分については権限を有し、大事に
ついては相談するのが常識です。
 何処に線を引くか難しいところですが、電話を設置し、携帯電話
を持ち、インターネットでメールで文字も画像もやり取り出来るの
ですから上手に使って下さい。

 東京は宗教の坩堝(るつぼ)です
       信頼されて、御仏様の慈悲を証明する

■私は、難しいことを東京でやってもらおうとは考えていません。
 ああしよう、こうしたい、そのように願うことは、無理が起きや
すく、適切とは思いません。
 担当責任者は非常に強運の人だと私は思います。御仏様のご守護
を自覚できると思います。
 折角に強運にして頂いたのですから、自分で運を悪くしないよう
慎重になして下さい。

 職員達は私に救われたと思っております。実際には仏縁があって
観音院に来て、そして職員となられた現在の皆さんがおられます。
ですから、広島観音院の今日については、私も多くの信徒も、厚く
感謝しています。この信頼にそって今後も努力して下さい。

 誠実に努力する、加えて格別な知恵も必要になります。しかし、
その前に御佛様を信仰し、その中で生きて行くことが肝心です。
 決して別院を早く建てようとか独立採算でやって行けるようにな
どと小細工を考えてはなりません。
 現在の観音院の建物や設備も、気が付いてみたら在ったというの
が真実の姿なのです。
 東京の観音院も、御仏様が必要だと認められれば、地から涌いて
出て来ます。必要なものは、空から降って来るでしょう。

 担当責任者は私の代理として東京で奉仕に徹して下さい。御仏様
の慈悲のあることを証明して下さることが唯一の業務になります。
 何時も言っていますように、親切や奉仕に反対給付を期待しては
なりません。ああすれば、こうして下さるだろう・・・など思うこ
とは許されない立場です。


 金銭で人を救えることは皆無
       自分の能力に合わせて慎重に

 慈悲と混同しやすいことに金銭の給付、貸付があります。保証・
推薦などと共に、これらは厳禁事項です。貸すほどの金銭がある筈
がありません。どうしても貸したい時は返済しなくても良いと告げ
た上で、自分の能力の範囲内で差し上げることです。
 これらのことは、今までにいろいろと実例に遭遇して、どのよう
に私が対処して来たか、勉強は済んでいますね。金銭で社会に対応
しようとすると、銀行を潰すほどお金があっても足りません。

 観音院に関わる僧侶は、清貧を旨とし、誠実と優しさ、何度も言
うようですが「相手の立場で考える」ことです。同時に、長続きの
する奉仕が大切です。
 必要が生じれば、もっと広い事務所、礼拝(らいはい)所に移転
することもあるでしょう。
 その必要性は、私や担当者が、判断することではありません。
観音院はビジネスではありません。お寺ですから、事業計画のよう
なものも、拡張計画も、採算も計算も無関係です。これは、しっか
りと頭に叩き込んで下さい。

 必要性などは御仏様の望まれることで、私たちの考えることでは
ありません。生かされている、生きて行く、両者は大きく異なりま
す。私は努力して生きて来たのではありません、御仏様の心のまま
に「生かされている私」なのです。

▼最初に東京事務所を設置する趣意書みたいな文章を提示しました
が、これは宗教法人としての原則論を述べたものです。

 私には、物事に責任を持てるほどの能力がありません。この世に
生命を享(う)けて以来、今日に至るまで私が如何ばかりのことを
したでありましょうか。
 正直である、嘘をつかない、仏書を読む、一生懸命に拝む、いろ
いろと深く考えてみる、そのようにして、結果として今日があると
でも説明できましょうか。

 これは今後の観音院全体についても重要な参考になるかもしれな
いことを少し述べます。
 観音院の関係者が邪(よこしま)なことを考え、恣意に運営し、公
私を混同し、世間の迷惑となるようなことがあれば、観音院は世の
中に必要ありません。たちまちにして無くなることでしょう。
 私は謀(はかりごと)、計画、目的などの言葉が好きではありま
せん。人間の思惑などは、愚かな限りと思っています。

■観音院の主体は「信徒」です。運営も信徒が決定します。これを
僧侶の立場で口を入れれば、信仰を仲介する立場にあるのですから
大きな影響力を発揮出来ます。しかし影響力は早く走るために使用
してはなりません。ゆっくりと、慎重に、商業的でなく、公序良俗
を大切にするために影響して下さることが最も大切だと思います。
 東京は巨大な宗教の坩堝(るつぼ)です。その中に安易に溶け込
んで影響を受けないように注意して下さい。

 多くの人の集まりは、目標を立て、目標を手にするために工夫し
ます。その工夫の多くは、十善戒に触れる内容が少なくありません。
 私は、小賢しい知恵を巡らすより御仏様の思し召しである慈悲の
縁によって動くことを願います。

 生きて行く上で困難があれば、苦痛に感じます、不安があれば、
被害を予測します。
 苦痛を感じるには個人差があります、不安も感じ方や方向が異な
ります。慎重であることは良いことですが、苦痛を軽率に口に出し
たり、不安について過度の危険を予測すると、被害妄想に陥ること
があります。
 心配なことも、これで良いのかと考えることもあるだろうかと思
いますが、それを口にしたり文章にすると、個人の不安や苦痛が全
体に悪い影響を与えます。

 何かがあった時は、一人でくよくよ考えずに早めに相談し、考え
をまとめて、落ち着いて行動して下さるようお願いします。
 考えがまとまらない時期で意見を言いますと周囲を惑わせ、自分
も惑い苦しむことになります。
 お互いに明日が知れない生身の人間です。よく話し合い、正直に、
そして「いたわり、いつくしみ、思いやり、相手の立場で考える」
ことを基盤として、世のため人のため尽くさせていただくことに意
味を見出しましょう。

■東京都都内で感じたことは、巨大なアスファルトジャングルであ
るといった思いです。公園も、首都だけに大きなものはあります。
美術館や博物館も多くあります。
 ですが、心のオアシスが見受けられません。ここに、観音院の
ように優しくて親切で、苦しみ悩む人たちのための拠点が出来れば
素晴らしいと思います。

※他人の口に戸を立てることより、自分の口に戸を立てることが
難しいと思います。多くの悪い噂は、噂を立てられる本人に多く
の責任があり、雀が囀ることをどうしてとめられましょう。
 大切なことは当事者が明確な考えをもち、理解しやすい行動を
とることです。自分自身の覚悟が社会の評判になります。

※行動は見えやすく、理解しやすいことが信頼されます。報告と
連絡と相談を行動の基盤にして下さい。観音院は二十四時間態勢
で電話が受けられます。私の所在が不明になることはありません。
職員は全て携帯電話を持ち、その上にインターネットにアドレス
を持っています。相互に連絡が容易にとれます。

※東京事務所は両界曼荼羅と厄除け大師の御座像と、大日如来さま、
不動明王さまが祭られています。
 広島観音院と東京道場は、画像と音声の双方向大画面テレビ
モニターが設置されています。いろいろな相談をお受けしています。
 お越しの際は電話で予約して下さい。出張することや、夜遅く
帰ることも珍しくありません。宜しくご高配賜れば幸甚です。

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