情報について,しつけ,教育,いじめ,不倫,監査,社会の健全さについて
鈴の 法話 (3月号-2)

情報も「手入れ」しなければゴミ
     集積し、分析し、使って知恵となる

             観音院 法主 鈴之僧正

 情報の内で最も大切なものは、家族から得られるもの、例えば親
の愛とか躾けなどです。
 多くの玩具、豊富な食物、漫画やテレビなど、多くの日本の家庭
では子供は秩序の無い物に囲まれて育っています。
 厄介(やっかい)なことに、親に情報の質を判断する力が失われ
ているか、失われつつあります。情報を分析するには倫理とか公序
良俗のフィルターを通さなければならないし、謙虚でなければなり
ません。

 一人っ子は問題の元凶です、体力さえあれば最低二人の子供を育
てて下さい。一人で両親の老後の面倒が見れる道理は成立しません。
 高齢化社会は少子化が原因で、子供が親の老後の世話をしていた
昔には無かった問題です。
 一人が、一人の老人の面倒を見ることは不可能ではありません。
二人の面倒は体力的にも経済的にも無理です。核家族を選択して、
老後を国に面倒見てもらう、当然に費用、税金などは莫大になりま
す。
 親を大切にする徳目を無くしたのは後悔し改めるべきことです。

 何はともあれ、家庭に於ける子供の躾(しつけ)が日本を再生さ
せる鍵になります。
 上手く行かないことを学校や社会に責任を転嫁するのは間違いで
す。自分のことと、自分の子供に責任を持ちなさい。手抜きで育て
た子供や甘やかして育てた子供は無責任に性格になります。

 次いで教育現場の問題を考えなくてはなりません。この五十年間
は、物を多く得ることと受験に教育の主題がおかれ、人々は享楽的
であり、他人の痛みや悲しみに鈍感になりつつあります。
 このような社会で幼児期を送り教育を受けた人が現代を構成する
中心となっています。

 最近の教師は礼儀に欠け、言葉が乱暴で、不潔、倫理観が低く、
服装がだらしない・・・と申したら、悪口でしょうか、威厳なんて
教師にはありません。教師の立場にある人は、誠実でなければなり
ません、秩序を維持する責任があります、学問について考え直して
下さい。不祥事を家庭や社会に転嫁しないで、真面目に反省して、
学校を本来の学校のあるべき姿に戻すよう努力して下さい。

 平和と民主主義の高い壁に保護されて、その壁の中で陰湿な苛め
が蔓延し、政治に無関心な人が増えています。
 日常生活は安全なように見えても、実際は精神的にも経済的にも
破綻に瀕(ひん)しています。
 学校は怖いところであり、尊敬すべき教師は無気力になりつつあ
ります。この環境は、教育する場所とは言えません。働き蜂の企業
戦士を生み出しているだけです。
 私が見聞した多くの教育施設は刑務所か軟禁所と言った方が適切
なところが多くありました。学校の制度は壊れています。学校の中
に、人間が生きる場所が無い、生きることが教育の原点の筈です。
好きなことに没頭して、それが勉強になるようになっていません。

 大学の教養過程などは無駄の一語に尽きます。高校も不要です。
 中学から専門大学に進学出来る制度に改めることを望みます。


 日本の教育は広く浅く詰め込む方式で、試験の点数で生徒の全て
を評価します。教師は昔は聖職と言う自覚があり、生徒や父兄から
尊敬されていましたが、最近は労働者としての意識が高くなりまし
た。子供の長所を伸ばす発想は無く、教科書の範囲を教えるに懸命
で、倫理観は著しく低下しています。

 教師の倫理観は、教師の親の倫理観の低下に影響されています。
父兄の無責任で勝手な要望は、父兄の親の影響によるものです。
子供は一人っ子が多く、甘やかされ、過度に保護され、気儘に、
自由にしたい放題に育ちます。

 社会はとても病んでいます。転職が立派なことのように言われて
いますが、適職や天職を得られる人や、現在の仕事に満足している
人は少ないのが実際です。慢性的な失業者社会です。

 離婚が普通のことになり、家族関係すら安心出来る環境とは言え
なくなりました。
 純潔が無価値のように思われ、不倫が日常会話に登場し、若い女
性がお金欲しさに経済力のある男性と交際することがある、これは
容認出来ない風潮です。

 官僚の収賄は国家の堕落です。私は警察国家を望んでいません、
公務員の倫理観の低下と、自浄作用を失っていることを憂います。
公務員に倫理に関する法律を制定することは恥ずかしいことです。

 金融機関の破綻は経済の暴走です。これらは情報開示を徹底して
行うことで防ぐことが出来ます。
 日本は監査制度が全く機能していません。監査という行為も意味
を失っています。
 政治家は信頼されていません。どうかすると過半数が棄権するこ
ともある政権は最初から成立していません。投票率が八十%を切っ
た選挙は無効とすべきです。
 相当に無恥厚顔な人が権力者としてのさばり、政治を担当してい
ます、政治に限らず、多くの組織が同様ですが、民主主義について
国民は今一度考えて下さい。

 疾病と同じように、早期に悪いところを発見し、早期に適切に治
療するには診断が不可欠であること同様に考えたいものです。悪い
ことを隠すことによって表面的な静謐を装うのは犯罪です。
 社会全体が倫理観を欠いて運営されているのは残念ながら事実で
す。それを確認した上で、家庭も学校も社会全体も改善されなくて
はなりません。
 昨年、私は多数のマスメディアに登場しました。結果として多く
のマスメディアに接することになりました。それらのメディアの内
には劣情を煽り、興味本意で、品性に欠けるものが少なからずあり、
大変残念に思いました。


 大切にすべきものは言葉です
       唾棄すべきメディアも横行

 一部の週刊誌や漫画は不可(いけ)ません。一部のスポーツ新聞は
不愉快です。昨今か昔からか知りませんが、少なくとも紳士の書く
文章ではありませんし、淑女が読むものでもありません。
 国民全部が、性欲と暴力と金儲けで、生きていると受け取られか
ねません。このような出版物や映画などが求められる社会が、やり
切れない思いです。

 私は最近話題の小説に関する著者の対談を少し読みました。その
中でその小説を十行ほど読みましたが、大変に不愉快でした。それ
が映画になって好評だと聞くと、もう日本で何が起きても不思議で
はないが、社会全体と家庭が崩壊しつつあると思いました。

 秘めやかにすることを広場の真ん中に持ち出すことが、許される
世の中が怪しい。このままで行くと日本は確実に駄目になります。
 不邪淫の項でいずれふれますが、私の公序良俗の概念では許容す
ることが出来ない不倫小説です。
 日本は諸外国に比較して麻薬などが一般化しておらず、社会生活
も安全と思っていましたが、今や無法地帯になりつつあります。
 私は相当神経質に身綺麗にしていますが、注意していても変なも
のが身近に紛れ込んで来ます。


 観音院は珍しく市民と接点の多い寺院です。運営や経理は二十年
前から完全に公開され、極めて近代的な設備の寺院です。
 多くの宗教家の見学を受け、外国からの見学者も多く、昨年は世
界各国約五百社のメディアによって紹介されました。観音院は市民
が運営している市民の寺と言うのが適切です。

 日本人の公序良俗は著しく低く、大半の人は何をするか分かりま
せん。このままでは不可ないことは皆さんが気付いています。
 道徳復興の気運は盛り上がりつつあります。現在は腐敗が表面化
している最中と言えましょう。

 日本の一部のメディアは、低俗で、破廉恥であり、劣情を煽り、
暴力を称賛し、常識で容認出来ない内容であり、そのような漫画な
どが大変な勢いで売れています。創り出された需要か、それとも、
そのような情報を好む国民性が出来てしまったのか詳しくは知りま
せんが、改善されるべきと考えています。

                 −月刊観自在98.03月号-2より−

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