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 水に気を付ける・災難は忘れたころに来る ----1999年7月        月刊「観自在」巻頭の言葉より  住職/高田寛恵  この時期、チベットの山々に強い日射が照りつけ、強い上昇気流 が発生する。  それに吸い寄せられるようにベンガル湾の海上の湿った空気が引 き寄せられて、時としてモンスーンとなり、バングラデシュに洪水 を起こす、東南アジアの雨期に相当する時期である。  チベット上空で発達した雨雲は偏西風に乗って中国から日本に至 る。梅雨である。  九州南部は六月二日に梅雨入りし、梅雨前線は次第に日本を東上 する、今年は例年より五日遅い。  梅雨は稲作農業にとって大切であるが、日本にとっては大切な水 資源でもある。  空梅雨のこともあるし、豪雨の場合もある。時には恵みの雨であ り、時には河川の氾濫を招く。  日本の河川の勾配はきつく、欧米人からすると滝のように見える そうだ。山が荒れ、減反によって日本全体の保水能力が少なくなっ ているといわれる。  先日、一寸した雨の際に海に行く機会があったが、海水は河口か ら二キロくらい濁っていた。  ほどほどの雨なら、海中が栄養豊富になってプランクトンが湧き 鰯も多く、豊漁となる。雨が少ないと農業用も工場用水不足する、 海は塩分濃度が高くなり不漁となる。ほどほどが難しい。  豪雨が続くとバングラデシュや中国に大きな被害が出る。日本の 河川も氾濫する。  この時期は台風のシーズンの始まりでもある、フィリピンの南に 台風三号が発生している。  気象衛星のお陰で天気予報も極めて正確になった。今年はラニー ニャになると予報されている。  梅雨の雨は恵みの雨だが雨水には謙虚にありたい。 水に対して慎重に 水滴は岩をも穿(うが)ち、大波は数百トンの波止(はと)を も動かす。水を治めることは国を治めることでもあるといわれ てきた。夏は水遊びや釣りなど水に近づくことが多い。水泳能 力を過信して流されたりすることもある。暑いかもしれないが 救命胴衣は是非にも着用してほしい。
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