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 出家なさりたいとは、ご奇特なことです ----1999年4月  出家なさりたいと希望される方は案外に多いものです。  出家して人里離れた処で一人静かに読経や瞑想(めいそう)でも して過ごすことが出来たら素晴らしいですね。  人里離れた、その場所は日本では必ず持主があります。況んや雨 露を凌(しの)ぐ場所、建物なり、御佛(みほとけ)様がおられれ ば、これまた確実に管理する宗教法人があります。無断で住み着く ことは不可能です。  建物が在るということは、誰かが管理していて、人里は決して離 れているわけではありません。  出家の動機として、現世を汚辱(おじょく)に満ちたものと思い、 人間関係を厭(いと)い、他人から指図されることなく暮らして行 きたい……、動機は理解出来ますが、これは実社会で失敗して逃避 されたいということではないでしょうか。  弟子になりたいと言われる方も多々ありますが、僧侶の基本は社 会に奉仕することにあります。  そこそこの体力と教養と戒律を守る意思を合わせ持たれないと、 弟子にすることは困難です。  寺の備品を粗末にする、電気は使い放題、電話掛け放題、朝寝、 朝酒とまでは申しませんが、信徒さんに親切でない、年中愚痴ばか り、おまけに怠惰である…、それは寺に受け入れることも弟子にす ることも不可能です。  出家には資質と養成費用が必要で、資質というのは、親切とか、 優しいとか、世話好き、且(か)つ守秘義務が理解出来る人、養成 費用とは一人前の僧侶になるまでの生活費と受皿の費用のことです。  勤勉とか、質素であるとか、保護者がしっかりしておられるとか 様々な環境が整備されていて出家は可能となります。  僧侶は大衆と一緒に生きて奉仕する立場にあります。 在家の僧侶  普通に社会生活を営みながら僧侶としての勉強をなされることは 大歓迎です。出家教団を構成することは大変に困難で、膨大な資産 を蓄積しなくてはなりません。出家教団を純粋に維持するには高い 塀を巡らす必要があり、世間が受入れない場合もあります。
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