Web版 月刊 観自在 [月刊「観自在」総目次]
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佛具・お供物のお話
平成14年・2002年10月号 [佛具・お供物のお話
平成14年9月号] [佛具・お供物のお話 平成14年11月号]
−いたわり 慈しみ 思いやり 相手の立場で考える−
−錫杖・錫杖のお加持− ■錫杖(しゃくじょう)■ 錫杖はその名前の通り、杖(つえ)の先に錫(すず)の環 (わ)がついたものです。柄(え)の長さは三十センチ位の 物のから、大人の背丈程もある長い物まであり、また、高齢 や病気の者のみ杖で体を支えることが許されています。 この長い杖の数カ所に印(しるし)があるものもあり、こ れは、川を渡る際に深さを知るために使われたそうです。 錫杖はいつごろからあったのか。本来インドでは、毒蛇や 毒虫などを近づけないように使われていて、お釈迦(しゃか) さまの時代にもすでにあり、巡行にも用いられていたといわ れています。 これは、日本でも山に入る時に熊避けなどに、腰に鈴(す ず)をつけるのと同じですね。 歩みながら音を立てることにより、毒蛇、毒虫、猛獣から 身を守る役目をします。後に、足元の虫たちを踏んで傷つけ たり、殺したりしないように、殺生をしないとの心配りとも なりました。 昔から、比丘(びく)十八物といわれる僧侶の携行品の一 つです。 鳴杖、声杖、智杖、徳杖などの呼び方もあります。 現在では見掛けることも少なくなりましたが、乞食(こつ じき・托鉢・たくはつ)の時に、戸口で来訪を知せる役目も あります。 ■錫杖の形と意味■ 錫杖の先端は、五輪塔(ごりんとう)を形作り、その下に 鈷(こ)と呼ばれる環があり、更に、この中にそれぞれ環が 入っています。 観音院では、お加持(かじ)に使うものは十二環(かん) の錫杖を用いていますが、とても良い音色です。山門の日切 地蔵さまは六環の錫杖をお持ちです。 この六と十二は環の数で、六は六度萬行(ろくどまんぎょ う)、十二には十二因縁(いんねん)の意味があります。 六度とは六波羅蜜(ろくはらみつ)の布施・持戒・忍辱 (にんにく)・精進・禅定。智慧のことで善き行いの元です。 これを成せば全ての善行を積むことになるので萬行というの です。 十二因縁の説明はとても難しいのですが出来るだけ簡単に いうと、人間が生きていく上での苦しみや悩みの十二の段階 をいいます。 そして、この世に生を受ける前の世界から、死ぬまでの間 の業(ごう)が前世(ぜんせ)から現世(げんせ)、現世か ら来世(らいせ)に、善き行いを成せば果報(かほう)がも たらされるということです。 皆さんも、正しき目で見て、善き言葉を語り、善き行いを 心掛け善根を積む努力を致しましょう。 ■錫杖のお加持■ 車やバイク、土地や家を購入された時や引越しをされた時、 または、何かしら良くないことが続くときなどには、お祓 (はら)いをして頂くと安心です。 お祓いの時は全ての場所を、錫杖で加持し、悪い因縁を祓 い良運と安全をご祈祷(きとう)します。 家のお祓いは、家祈祷(やぎとう)といいます。 車のお祓い、家祈祷や地鎮祭、どちらも前もって予約が必 要です。 また、年に何人かの方は、どうしても良くないものが祓い きれず、特別に全身を読経とともに加持して頂かれる方もお られます。 観音院に来られた時には、長く寺内にいることが苦痛と言 われるほど圧迫されて、弱っておられ、時には、お寺の敷地 に入れずに、山門の前から携帯電話で「迎えに来て欲しい」 言われる方もおられます。笑い話でなくて本当です。 観音院の周りは、結界(けっかい)が張ってあり、悪いも のが入れないようにしてあるのです。 そういった方々が、お加持の後は笑顔で軽やかな足取りで 帰って行かれるのは、不思議でもあり、み仏さまのお蔭を頂 かれているのを実感し有難いことと思います。 ■鳴釜の霊気を頂いて■ 毎月の一日・十一日・十三日・十八日・二十一日・二十四 日・二十八日には、鳴釜(なりがま)のご法要があります。 この時に、鳴釜の霊気を頂いた錫杖で、お体を加持しても らえます。特に気に掛かる所がある方は、お加持の時に僧侶 にお申し出になって下さい。その箇所を念入りにお加持下さ います。 錫杖のシャンシャンという音は、心も体も洗われるような 澄んだ音色で、邪気(じゃき)を祓い清める働きがあります。 その音色は、時には涼しげで、時には力強くもある音楽のよ うな感じもします。 頭がスッキリして冴(さ)えてくる、気持ちが落ち着く、 心が穏やかになる、体の痛みが楽になると皆さん言われます。 鋭利な刃物で痛みもなく、悪い部分をスパッと削ぎ落とし生 まれ変わったような感じというのは私の感想です。 皆さんも、是非一度、ご霊験を体感してみて下さい。 ■鳴釜で使われ、拝(おが)まれたお米は「元気が出るお米」 といわれて人気があります。 ご法要の後で差し上げます。お粥にされたり、ご飯を炊くと きに一緒に炊飯されて下さい。 ■鳴釜のご法要は、行事により日程が変更になる月もあります。 「観自在」二頁の、毎月の「こよみ」でお確かめの上、お参 り下さい。
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