[観音院目次] [観自在目次] [駆け込み寺 楽書帳]


難民救済衣料キャンペ−ンのこと

                   (96.11.30)


 UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)によれば、現在世界には、内戦、内乱等の紛争地域は、40ケ所以上、難民は230万人、避難民は260万人 にのぼると言われています。
 世界の人の9%11人に一人が、地域紛争や自然災害や人災のために、その日の生活さえ困難で、食べ物や着る物に困っているとのことです。
 米ソの対立が終わったにも係わらず、何故平和が訪れず難民が増えているのでしょう。
 それにひきかえ、わたしども日本人は、飽食の時代と言われ、随分と贅沢と無駄なことが行われていると思います。
 年に数回大型ゴミの日がありますが、散歩の途中、その集積場を見ると、まだ十分に使用可能な家具や電気製品など沢山捨ててあります。
 それでも、今は、だんだんと若い人が目覚め、地球環境の保護の立場でリサイクルに努める人が多く見受けられるようになりました。例えば、牛乳パック の再利用とか発泡スチロ−ル容器の回収とか、その機運が盛り上がってきたように思います。

 先日、会社に女子高生が一人で尋ねてきまして、世界から飢餓をなくすため募金をお願いにまわっているといって、話を聞いてくださいとのことでした。 受験前の忙しい時期の高校生ですけど、飢餓を救うためにと熱心に話をし、私もその高校生がちゃんとした団体に所属しておりましたので、また、その熱意にうたれ、いくばくかの募金を致しました。

 飢餓もそうですが、私どもも4年前から着るものもなく困っている人に衣類を送ろうと、難民救済衣料キャンペ−ンを行い、昨年まで3回実施致しました。
 今年は会場の都合で実施できませんでしたが、来年は是非実施したいと考えています。
 飢えに苦しむ人を救うことは、輸送ル−トの関係とかで食料品を世界のすみずみに送ることは大変だと思いますが、着るものを送ることは比較 的簡単です。
 大阪にある難民衣料救済センタ−の指定倉庫まで送れば、寒い国用、暑い国用、子供用、大人用など送る国の国情に合わせて選別して海上輸送し、現地のボラン ティアの協力で困っている人ひとりひとりに手渡してくれるのだそうです。
 タイ在住のNGOの人の話によると、バンコックから8時間余り離れた村の集会所で衣料品を配ったときの話ですが、お年寄りと子供たちが、隣村から2時間 余りも歩いて来て配給の何時間も前から待っていたそうです。小分けされた古着を一人一人に渡していくと、集会所の外で、早速試着したり、交換し合ったり、嬉しそうな笑い声の輪が広がっていたそうです。

 私どもも、去年までの3回、夏の日の1日、朝早くから夕方までテントに難民衣料救済キャンペ−ンと大きな看板を掲げて待ち受けておりますと、次から次へ と自動車自転車や中には乳母車にダンボ−ルや紙袋に衣料品を詰め込んで持ってきてくれます。
 最初の年は、PRも行き届かず、果して衣料品が集まるのだろうかと心配しましたが、箱詰めのため用意していたダンボ−ルが足りなくなり、何回も何回も近く のス−パ−に空き箱を貰いに行かなければならないほど集まり、500人近くの人が持ってきて下さいました。夕方箱詰めを終わりトラックに積みこみましたら何と11トンの大型トラック2台に入りきらないほどありました。20トンを超える古着が集まったのです。衣料品とともに、指定倉庫までのトラックの運賃と海外輸送費の一部にと募金箱を置いておきましたら、たくさんの人が協力して下さいました。終わって、私どもは非常に感動しました。善意の人が、こんなにも沢山いらっしゃったのです。

 これらの衣料品が、救援衣料センタ−を通じて、ペル−、ブラジル、モンゴルや中国などに送られ、着るものに困っている人々のお役に立つと思えば、一日忙しく持ってきて 下さった衣類を受け取ったり、箱詰めしたり、トラックに積み込んだりの疲れが吹き飛んで行きます。

 今年は会場の都合で実施できませんでしたが、来年から何とか実施したいと考えています。沢山の人が、このキャンペ−ンを待ってくれているのです。
 ”今年はいつ実施されるの”という問い合わせが沢山ありました。サイズが合わなくなったり、一寸流行遅れになったりで、殆ど新品同様の衣料品を捨てるには勿体ないし、何か役に立てばと保管されている方がいらっしゃるのです。
 ”毎年続けて欲しい”との声があるのに、都合で毎年実施できなかったことを本当に残念に思っています。
  キャンペ−ンに協力しようと待ってくださっている人、そして着るものが無くて、困っている世界中の人のために。

 投稿者:げんさん(1996.11.30)


前稿/ほのぼの情報A




ほのぼの応募投稿の目次