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身体障害者の皆さんと海水浴に

                   (96.10.27)


 私ども、同じ志を持つ有志が相寄り、まちの活性化をねらいとして、数年前『共和国』を建国致しました。いわゆる”まちおこし”です。
 その”まちおこし”の行事の施策として、いろんな行事やイベントを行っておりますが、その中の一つ『みんな来んさい。ヒュウマンビーチ長瀬』を紹介 させて頂きます。

 『みんな来んさい。ヒュウマンビーチ長瀬・作業所の仲間と海水浴に行こう』という行事で、今年で6回目が終わりました。7年前からはじめて例のサメ騒 動で中止した年を除き、毎年行って今年で6回。
 「作業所の仲間」とは身体障害者です。日常は、○○作業所で手工芸品を作ったり、手作りのクッキーを焼いたりして、働く喜びと、若干の収入を得てい ます。
 最初、その「仲間たち」が自分たちで海水浴に行きたいという声を聞き、ではボランティアで連れていってあげようと、思い上がった気持ちで始めました。 ですから、費用も協賛して頂ける会社から寄付を募って、フェリーをチャーターし、仲間たちをボランティアで海水浴に連れて行ってあげました。
 車椅子を要する人、初めての海水浴に大喜びをしたのはもちろんです。でも、私どもと仲間たちの間にちょっと考え方のずれがあったようです。
 仲間たちは自分で働いたお金で参加したいという気持ちがあり、その一年に1回の海水浴を楽しみに、不自由な身体で、一生懸命に働いているのです。
「招待されるのは嫌だ。私たち作業所の仲間は、この日を待ち兼ねて貯金しているのだから、その楽しみを奪わないで。皆んな同じ会費で行こう。」
 その気持ちに気がついて、2回目からは、仲間たちも、そしてボランティアからも、皆んな同じ2千円の会費を集め、海水浴に行くことに致しました。

 今年も7月26日の金曜日、広島県安芸郡能美町のヒュウマンビーチ長瀬に、 8作業所の仲間101人、作業所の職員や仲間の家族61人、ボランティア171人、合わせて333人で、瀬戸内海汽船のフェリーをチャーターし、海水浴に行きました。
 当日は絶好の好天に恵まれ、県営桟橋8時30分の集合なのに、朝早くから、 1ケ月も2ケ月も前から楽しみにしていた仲間たちが集まり、ボランティアの介護でフェリーに乗り、一路、能美海上ロッジ桟橋へ。
 桟橋では、能美町のボランティアが、準備を整えて待ち受けてくれておりました。ビーチに、障害者が使いやすいような更衣場所やシャワーなどです。
 ビーチでは、車椅子の人を4人掛かりで介護し浮き袋で水浴びしたり、スイカ割りを楽しんだり、能美町の人が用意してくれていたヨットに乗ったり、暑 い夏の一日を事故もなく十分に楽しんでくれました。確かに、ボランティアの仕事は大変でしたが、それ以上に、仲間たちから教えられたほうが多かったように思います。

 私たち健常者には味わえない仲間たちの素直な喜びが、彼らの全身から伝わってきますし、もう来年の夏の海水浴を楽しみにしている仲間たち。
 今の若いものは・・、という言葉をよく聞きますが、高校生や、僕らには何も出来ないけど荷物の一つや二つは持ってお手伝いしたいといって参加してくれ た小・中学生。
 この夏感じたことは、自分たちが奉仕したというより、仲間たちから受けた感動や喜びのほうがはるかに大きかったように思いました。

投稿者:げんさん

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