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厭なものは捨てて、新しい年を迎えたい ----1999年12月        月刊「観自在」巻頭の言葉より  住職/高田寛恵  苦には大略二つあって、他人から持ち込まれるもの、自分の心の 中に苦を作るみものである。  例えば金を貸すと、返してもらいたい、返してくれない、返して もらおうとする。場合によっては債鬼に自ずからなり、時には約束 が守られないで騙されたと他人を憎む。これは自分で自分の心の中 に作った原因があり自業自得。  この苦しみを作らないようにするには、金貸しにならぬこと。そ のような肥溜めに嵌まるような人間関係を作らぬよう気を付けるこ とが大切。世の中には口の上手いのもいるから引っ掛からぬようす るしかない。身内なら縁を切らねば際限がない。  もう一つは法外な欲望をもって叶えようと願うことで、これは自 分も苦しいし、家族にも心配を掛けることになる。  身分不相応なものを欲しがると入手手段に無理が起きて当然。  持ち付けないものは、この際捨てた方が楽、有り過ぎると管理が 大変、物ははあまり持たないように身辺は簡素が良い。権限なども 年老いて持っていると行使に過って怨みを買う基になる。  他人から羨望されたり、嫉妬されるような社会的態度を取ると辛 いことになる。  食べ物も着る物も、住む家も乗る車もほどほどが良い。「過ぎた るは猶(なお)及ばざるが如し」と言う諺もあって、度を過ぎてし まったものは、程度に達しないものと同じで、どちらも好ましいこ とではない。  足るを知り、あまり高望みをしないで、物を大切に生かして使う ことを考えることが大切。  約束は誠実に守り、嘘を言わないと良い将来が開ける。  要は不殺生(ふせっしょう)・不偸盗(ふちゅうとう)・不邪淫・ 不妄語・不綺語・不悪口(ふあっく)・不両舌・不慳貪(ふけんどん) ・不瞋恚(ふしんに)・不邪見(ふじゃけん)を日常心掛けて過ご せば、過ち少なく良き年を迎えられる。 無理をしない  無理を通せば疎まれる、情に竿せば流される、執着すれば苦しく なる。力ある人には礼を尽くす。まあ、要領良く纏めて、振り掛か る火の粉は避け、楽な方向に向かうと善い。厭なことは長続きしな い、コツコツと日々を大切に生きて行けば何とかなる。
Kanjizai index1999-112000-01


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