目次　Kanjizai Index

宗教を信ずることによって奇跡は起きるか　----1999年１１月

　　　　　　　月刊「観自在」巻頭の言葉より　　住職／高田寛恵


　奇跡的とは極めて不思議な物事の成就（じょうじゅ）する様子を
言います。努力し、誠実に生き、その事々態に感謝するのが理想的
な宗教との付き合い方と言う人もいますが、私はあながちそうでも
ないと思います。

　奇跡は常識では考えられない神秘的な出来事です。知識や科学で
は説明出来ない、私たちの知る限りの知識や自然法則を超越した不
思議な現象が起きることです。
　宗教的真理の徴（しるし）として「験」とも書きます。御佛様に
お願いすることが原因となって現れる結果のことをいいます。
　一に一を加えたら二になるのは小学生でも知っていることです。
　一に一を加えて、御佛（みほとけ）様を信ずる時に二以外の結果
になれば信じ難いことです。

　多くの信徒さんは四苦八苦を逃れたい、言葉に語弊がありますが
色々な願い事をもって来られます。
　御佛様は「世のため人のため」になるならとの条件付きでしばし
ば願望を叶えられます。
　そのような出来事が起きると奇跡があったとか、ご霊験があった
と多くの人は言われます。

　現世的な欲望が叶えられることを現世利益と言って宗教的には低
い次元と解釈する人もあります。
　死んでしまえば何も無いと言う人もあります。丁重なご供養に全
く意味が無いと言う人もいます。

　それでも、私たちは一生懸命に拝みます。多くの人が不思議だ、
有り難い、ご利益（りやく）を頂いたと言われることに、僧侶とし
て敬虔な気持ちで受け止めながら、ご一緒に悩み、共に現世を生き
て行くことを願っています。
　奇跡の起きる確率の高い寺院のあることを目指して。

奇跡は起きる
　理屈では説明の付かないような良い事に恵まれると「奇跡」が
あったと皆さまは言われます。何処までが偶然の果報で、何処か
ら御佛様のなされる事か分かりませんが、宗教は理屈を超えたと
ころにあって、信ずる人に救いの手が差し伸べられるものです。