目次 Kanjizai Index

虹のポスト ミニミニ観自在 ----1999年6月                観自在 編集部 掃除は物を大切にする第一歩です        その物を使わせて頂くことに感謝して ■法主さんはトイレの掃除も風呂の掃除も部屋の掃除も自分でされ ます。それも並大抵の水準ではありません。浴槽に湯垢が付いてい ることなど絶対にありません。 ▼十年使用されても昨日設置されたようにピカピカです。 ▼掃除を丁寧にする理由は、使って頂く場合に気持ちが良い、衛生 的である、それを造られた人たちに感謝の気持ちを持つ、購入した 原資は皆さんから寄せられた浄財であると言う理由からだそうです。 ▼法主さんの掃除の基準は茶碗も便器も同じように綺麗にする、比 較にことかいて、茶碗と便器を一緒にされるのは難問ですが、つま りは舐めても良いくらいに綺麗に掃除をする、御佛様に心から感謝 して、掃除をさせて頂けることに喜びを感じてなさるそうです。 ▼さりとて、寺には十カ所も便所がありますので、なかなか法主さ んの基準まで掃除をすることは困難なことです。しかし、便所は観 音院の看板と同じだと考えておられるのですから、僧侶職員も余程 根性を入れて掃除したいものです。 ▼コンピュータが扱えても、キーボードが汚くては失格。次にそれ を使う人に対する「思いやり」が無い。 観音院では使用前に手を薬用石鹸で良く洗います。ディスプレイの 面にホコリが付きやすいものですが、放置しません。  数年前まではスーパーコンピュータと称されていた性能のものを 気軽に使わせてもらうその下には、開発に関わられた技術者に対す る深い感謝と尊敬の念が込められています。 有り難いと思う ■法主さんは時として機械好きと誤解されることがありますが、日 常使われるワープロは六年前のものです。小学校の時に買ってもら われたコンパスが六十年も使われています。物を紛失されることは ありません。物を大切にされる習慣があるようです。 ▼誤解のもうひとつは潔癖症の疑いです。これは与えられた環境に 不平を決して言われたことが無いことから明らかです。他人のする ことに注文は殆ど付けられません。 ▼出張でホテルなどに泊まられると、必ずしも法主さんの日常と同 じで無い場合が多いようですが、驚くべきことに、托鉢に出られる 時に電話ボックスで寝て居られることがあるのは有名な話です。中 国やインドの奥地では想像を絶する非衛生な場所があります、現地 主義と言うのだそうですが、平然と溶け込んでおられます。 ■その時、その場所で、いろいろなことに出会うのは有り難い「ご 縁」だと思われている。有り難いと思うから感謝の気持ちになる。 このような気持ちになりたいものだと思います。 「してあげる」 ■これは法主さんの好まれない言葉です。「さして頂く」ことが基 本だそうです。観音院に参詣してくださる人々に、沢山のお寺があ りながら、その中から観音院を選んで遠くから来てくださる、本当 に「有り難いこと」だと思っておられます。私どももそのように教 えられています。 ▼お昼くらい食べさせてあげる、なんて言うと、法主さんから懇々 と注意されます。「食べてくださる」有り難いことだ、感謝の気持 ちで調理に工夫をすることです。 商売も同じ ■大量仕入れ、大量販売が当然のように思われていますが、この風 潮に大変な疑問があります。 ▼お客さんの嗜好を調査し、出来るだけ安くし、喜んで買っていた だくことは当然ですが、もうひとつは買って頂くことに感謝と喜び が無いと、商売の将来は無いだろうと予測しておられます。 ▼お金さえ払えば、お金が貰えるのなら--、これは良くない傾向の 考え方です。物を作ったり、サービスする上で、相手が満足するよ うに工夫するのは当然のことで、感謝の気持ちが双方から失われる とその事業は終焉を迎える時に差しかかっています。繁栄の条件は 感謝と喜びと、感謝の輪の中にあることを心したいものです。 医療の危機 ■最近、企業健康保険基金の解散が相次いでいます。原因は高齢者 の医療費を分担する制度にあります。同時に高齢者の医療費に関す る無関心にも原因があります。 ▼お医者さんで貰っている薬のうちで漫然と受け取り、必要の無い 薬品を引出し一杯にしている方がおられますが、不必要な薬品は断 る考え方が大切です。高齢者社会が到来し、現在の医療費の個人負 担と支払い基金の分担割合は間もなく崩壊します。不足分は税金で まかなうことになります。が、働く人の税負担能力にも限界があり ますから、将来の見通しとしては暗いものがあります。各自の自覚 が破綻を一日でも遅くすることを理解して協力したいものです。 ■日本で臓器移植法が出来て二例目の心臓移植がなされ、倫理的な 意味でも合意がなされつつあります。再三臓器移植に関する倫理的 な問い合わせがありますので、法主さんに聞きましたら、臓器移植 も便秘を治療するのも同じことだと言っておられました。 ▼昔、幼児が便秘で苦しんでいると、それを口で吸い出すのが賢明 な親のすることだった。孝謙天皇の母である光明皇后は佛教を篤く 信じていて、悲田院・施薬院を設けて、窮民を救った話はもう忘れ られかけているが、皇后が腫瘍の膿を口で吸われて癒されたことな どは佛教の「慈悲」の代表的な行為で、医療関係者の心とすべきこ とだと言っておられました。 ■法主さんの話には深い意味が含まれていることが多いので、文字 通りに受け取られず、行間を考えてくださるようお願いします。 魔が差す季節 ■和歌山の毒入りカレー事件の裁判が始まりました。動機の解明が 検察側にとって課題ですが、このような人の行為を「魔が差した」 と言います。 ▼暑くなりますと「魔が差しやすい季節」です。軽く飲んで悪いと 知っていて車を運転して事故を起こすなどが「魔が差す」代表的な 例です。子供が万引きする。取引先と口論になる。嘘を言う。不倫 する。これらは全て悪いと知っていて「魔が差す」行為です。 ▼和歌山カレー事件のなども明確に殺してやろうと毒物を混入した のではなくて「魔が差した」のだろうと思います。身近に毒物が置 いてあり、地域社会から排除されると思って激昂してと説明してあ りますが、私たちの身近にも料理用の包丁からカッターナイフ、車 はもちろん「魔が差すと、人を殺せるもの」が沢山あります。 ▼思ってもみなかった事態に発展するような悪事、人は本来「善」 なるもので、それがとんでもないことをして後悔するのですから、 まさに「魔が差す」のでしょう。 ▼「魔が差す」のもいろいろあって、親の悪口を言い続ける人、他 人から悪戯をされ続ける人、「魔が差し易い人」もおられます。  それに加えて夏の暑さと湿気が人間の思考回路を乱します。  夏越し祈願は暑い夏を無事故で乗り切る祈願であり、合わせて魔 が差さないように祈願する法要です。観音院では一年中一日も休ま ず、三座の法要を執行させて頂いておりますのは、魔が差さないよ うにして頂くためでもあります。 白だるまさん ■夏越し祈願に参詣された方に萬倍さまの「白だるまさん」を差し 上げています。  白だるまさんの後ろには、ご自分の弱点、怠惰な傾向であれば 「勤勉に働けますように」とか、魔が差しそうなことの反対の善い 願望を書いてください。 ▼法主さんは大体二ヵ月に一回くらいの割合で健康診断を受けられ ます。先般お医者さんから電話があって「とうにょうのけがある」 とのことで、「何、糖尿の毛?」と大笑いされていましたが、以来 朝食と昼食はご飯を半分、夜はご飯は食べず、おかずも半分。一ヵ 月で体重を四キロも落とされて、「とうにょうの毛」は抜けたそう 一安心です。  このまま減量を続けると居なくなってしまう計算だな、と冗談を 言われていました。 編集後記 ■毎月、月初めは観自在の編集で風邪を引いたような感じです。み んな大変な苦労をしているようなつもりでいるのですが、法主さん は十数年も風邪一つ引かれないような不思議で、余所の冊子にまで 原稿を書いて上げておられます。 ▼お元気で慎重に過ごされることは有り難いことです。
Kanjizai index99059907


Kannon-in English version

e-mail:kanjizaik@kannon-in.or.jp