今 年 の 夏 今ではとても、誰にも信じて貰えないでしょうが、 おとなしい女の子でした。スクランブル・エッグの好きな女の子。 還暦を過ぎて始めたものが五つ六つ。 未だ未だやりたい事が一杯あって 夏バテなんかしていられない。 鶏が首をしめられた様な声を出して歌ったり、楽器をギーコギーコ と、孫に耳を塞がれても怯む事なく、窓を閉め切って頑張ってしま いました。 正に六十の手習い。 恥を忘れて大声で歌っていると、ストレスなんて吹っ飛んでしまう。 お蔭?で 今年の夏は、食欲旺盛で無残にも、肥りっぱなしでした。 何事も程々が肝心。 これから涼しくなるにつれ、俳句 散文・・・・と、虫の音と共に 静かな夜が続くでしょう。 せせらぎに 手を入れてみる 夏休み 風そよと 稲穂に遊ぶ 猫じゃらし * * * * * * * 今朝 朝顔の開花に出会いました。 たまたま大きい蕾が、他の蔓に邪魔されて咲きそびれていたのです。 夕顔の咲く瞬間は、度々経験していますが、それと同じく白い筋 の見える頃です。 少し 揺れました。ひだの先がゆるみます。 夕顔の場合は、音が聞こえそうな感じがしますが、朝顔は、静か に口が開いてくるのですね。 夕顔を眺めていると、せっかちな私は、ついつい 子供みたいに 手伝ってやりたくなってしまいます。でも一寸よそ見をしている間 にも、襞がほどけてしまう。 感動するひととき。 涙が出そうなくらい。 傘の様に 開ききって しまうと、そっと 香りを楽しんでみる。 やさしい香。 十年前の涙は自分の為に流した涙。 今の涙は他人(ひと)の為に流す涙です。 ふじ絵