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      「 ら く が き 」 その3

                       penname:ふじ絵

         ば  ら 

   子供の頃、ご近所に子供のいない御夫婦がいた。
  その頃には未だ家庭で、犬を飼う人はほとんどいなかった。 
  毛糸で編んだ白いベスト風の物を着せて、いつもかわりばん
  こに抱いていた。  
   飼い主に似てか、とてもおとなしい犬だった。

   飛び石づたいに見る庭は、とても閑静であった。
  今も強く印象に残っている事がある。
   二、三ミリ程の石を塗り込んだ高塀の上部に、つるばらが 
  ぎっしりと、ピンクの花を付けていた風景である。

   何度目かの現在のわが家の庭には、それと同じつるばら
  咲いている。
   咲き方は 言うまでもなく「月とスッポン」ではある。
  白い柵に懐かしく咲いている。
   その株元には 今風に隙間のない位 さまざまな色彩で、
  楽しませてくれている。 が・・・・・・
   近所には朝に夕に、多種類の犬が吠えたてている。
   小学生の頃子供にねだられて、最初可愛がられ、そのうち
  子供達が 忙しくなり散歩も儘ならず、と言うところだろうか。

   おもえば犬も哀れなものである。



  こうや槙 薔薇添へられし 広座敷


   ※高野槙(こうやまき)は主に和歌山県高野山で
    産する日本特産のスギ科の常緑高木、み仏さま
    にお供えされる美しい樹木である。

                


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