目次 観自在インデックス
2000年9月 母親の殺意を維持した子供の生命保険金     月刊「観自在」巻頭の言葉より  住職/高田寛恵    人柄も普通、職場の評判も上々という女性が我が子に薬物を与え て殺害し、保険金を受け取り、続いて次の子供の殺害を図り、病院 から告訴されて逮捕された。  看護にあたる女性が我が子の病床に付き添って、医者の目を盗ん で点滴の容器に肺水腫を起こして死に至る薬物を投与していた。  常識では考えられない行為で警察も困って精神鑑定に回したそう だが、誰もこの女性の行動を理解することは出来ないだろう。  以前に同様な方法で二人の子供を死なせ、二千二百万円の保険金 を受け取った前歴があり、三番目の犯行で母親の殺意を直感した子 供が医師に告げて、医師が病状から母親の殺意を認めて告訴に及ん だらしいが、医師も俄には信じられず、母親が付き添った後の病状 の変化などを慎重に観察して母親の犯行を疑ったらしい。  人を殺してはならないことは人なら誰でも知っていることで、こ こで不殺生を説くつもりはないが何とも理解し難いことだ。  もう少し捜査が遅れると、母親は三千万円を手にする筈だった。  子供を普通に可愛がっていたそうだから、何年間も殺意をもって 育てているとは考えられぬが、実際にこの母親は再三薬殺を行動に 移しながら生活していた。  殺意を維持したのは保険金を受け取り、それで生活を営むことで あって、真面目に仕事をするように我が子を殺そうとした。  最近、保険金目当ての殺人とか放火など、保険にまつわる犯罪が 増えているようだ。   人が死ぬと悲しい、家が火事になると生活に困る。それを保険金 で埋めようとすることに大きな疑問を持つ。本当に保険制度は必要 なのだろうか。 観自在インデックス2000-08|2000-10|

観音院

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