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仏具・法要・お供物のお話  平成13年・2001年12月号   [10月号] [平成14年1月号]

 −いたわり 慈しみ 思いやり 相手の立場で考える


−給仕(きゅうじ)の仕方 その三「飲食(おんじき)」−

み仏さまにお供えする飲み物は
    美しい容器に美味しいものを

■み仏さまにお供えするお茶や容器についてよく質問を受けます。

 缶ビールを供えても良いか、缶チューハイは大丈夫か、珈琲は、
紅茶はなどと、食生活が豊かになるにつけて、皆さんもいろいろ考
えて難問をもって来られます。
 お供え物は故人やご先祖さまが生前に好きだった嗜好(しこう)
品を選ぶのは大切な心がけです。

 法主さんにお聞きするとワインも良いと思う、銘柄は知らないけ
れど東京には一本百万円もする超高級品があるそうだから、その内
に買って来てお供えしようと言っておられます。
 毎年、ボジョレーヌーボーをお供えしてくださる信徒さんがおら
れて、これは多分に法主さん宛てのものと思われるのですが、必ず
み仏さまに先ずはお供えいたします。お供えくださった方のご多幸
をお祈りするのが常です。

 法主さんのお給仕を見ていますと思案に及ばす微笑ましい様子を
見ることもできます。クリスタルのワイングラスに炭酸飲料のファ
イブミニを供えておられました。
 お供えの器はマイセンとかオオタニや有田焼きなど一つが三千円
から数万円もするような、とても高価な良いものを使われています。
 よく仏壇店で売っている小型で宗派の紋が金色でプリントしてあ
るような品物は好まれないように思います。この傾向はみ仏さまに
給仕する全般の姿勢です。そして皆さんを供応される際も同様で、
ジュース一杯もクリスタルの一揃い七万円くらいのグラスを使われ
ていて、供応ということは最高の材料を使用して最高の器を使用さ
れておられます。
 日本は芸術的な陶磁器の産出国ですが、何故かみ仏さまにお供え
するための良い陶磁器がありません。大変に残念なことです。
 百貨店や陶器店でも見当たりません。全て観賞用、生きている人
のための品物しかありません。

 これは当然のことで、仏具は生活用品がある時期にみ仏さま用と
して使われて、その時期のまま現代まで引き継がれているのです。
 ですから、日常使用されている生活用品を、仏具として使っても
問題は無いのです。
 法主さんは清潔第一ですから熱湯で滅菌処理できるもの、あるい
は消毒アルコールや洗剤に強いものがお好みです。そのような意味
では朱塗りの膳や椀などは薬品にどの程度の耐性があるか検討して
みる必要があります。また傷つきやすく比較的に高価であり検討の
余地がありそうに思います。
 漆器の問題点はヒビです。塗料と食器の間に下地が砥粉(とのこ)
が塗ってあり、そこに染み込んだ細菌を滅菌することに疑問があっ
て、観音院の食品管理思想からすると、もうひとつ安心できません。

 何れにしても、塗りの剥げかけた漆器は絶対に使用できません。
み仏さまに失礼なことは絶対にできないからです。
 み仏さまに給仕する心掛けの基本は大切なお客さまに接待する気
持ちなのです。
 料理に使用する包丁類も金物と握りの部分の滅菌には常日頃注意
しています。お供えの餅にカビが生えているようなことは、法主さ
んには絶対に考えられません。
 これらは一言で言えば「信心」が有るか無いかの問題と考えてい
ます。

 皆さんがお寺さんに参詣されてお供え物を見られた時にカチカチ
になったお仏飯(ぶっぱん)を見られたり、すぼんだ林檎などがあっ
たとしたら、最早そのお坊さんは帰依する必要はありません。み仏
さまに信心が無いお坊さんなんて木偶(でく)の棒と同じです。その
ようなお坊さんの読経よりはテープレコーダーの経典の方がましだ
と思っても間違いではありません。

 観音院ではみ仏さまにお供えする水も浄水器を通しています。お
墓の水も全部浄水器を通しております。寺で使用する水を全部浄水
器に通すには大きな費用が必要で維持管理も気をつけています。
 これらは、み仏さまに美味しい水を供えたいと考えられる法主さ
んの信心に基づくものです。
 皆さんが仏壇やお墓にお供えをされるについては、家族愛で考え
て欲しいと願います。生きておられる人と同じにすることが善です。



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